はじめに
地中海の青い海と、太陽に照らされる白い街並み。そんな美しいイメージを持つギリシャは、実は人類の歴史と文化の源流とも言える場所です。
古代オリンピックの発祥地であり、民主主義や哲学が生まれたギリシャには、現在も数多くの貴重な遺跡や美しい建造物が残されています。ユネスコの世界遺産に登録されているスポットも多く、その一つひとつが独自の歴史のドラマを物語っています。
「ギリシャへ旅行に行きたいけれど、どこを見ればいいのか分からない」 「せっかく行くなら、絶対に外せない世界遺産を効率よく巡りたい!」
そんな方のために、今回はギリシャが誇る数ある世界遺産の中から、絶対に外せない5つのスポットを厳選してご紹介します。神話の世界に迷い込んだかのような、特別な旅へ一緒に出かけましょう!
ギリシャの魅力を堪能する!厳選世界遺産5選
1. アテネのアクロポリス(文化遺産)

世界を代表する神殿
アテネは古代ギリシアを代表するポリス(都市国家)であり、民主政の基礎が築かれた場所でもあります。その中心となった場所が「アテネのアクロポリス」です。アクロポリスとは「高いところ」を意味し、今でもアテネの市街地を見下ろす高さ70mほどの丘にアクロポリスが鎮座しています。このアクロポリスの中心に立つのが、世界的に有名な「パルテノン神殿」です。この神殿は、古代のペルシア戦争終了後に、天才的な政治家であったペリクレスの指導の下、建設されました。ペルシア戦争の勝利を祝ってアテナに捧げられた神殿であり、大彫刻家のフェイディアスが中心となり手がけました。この神殿の特徴のひとつは、円柱の中央部が微妙に膨らんでいる「エンタシス」という技法です。重圧感を和らげ、軽快さを演出するという効果があり、驚くことにはるか東の日本の法隆寺の柱でもこの技法が伝わっています。
さまざまな時代を見通してきた神殿
長きにわたり国家の繁栄を見守ってきたパルテノン神殿ですが、ギリシアのポリスが衰退していくとともに人々に忘れ去られていきます。またビザンツ帝国はパルテノン神殿をキリスト教の教会に改修し、神殿中心にあったとされるアテナ神像はコンスタンティノープルに持ち去りました。その後、神殿に残された浮彫も破壊され、15世紀半ばにオスマン帝国が台頭すると、今度はモスクに改造されてしまうのです。そして、壊滅的な打撃は17世紀後半のオスマン帝国とヴェネツィアとの戦いで起きてしまいます。追い詰められたトルコ軍はパルテノン神殿に立てこもり、そこにヴェネツィア軍の砲弾がパルテノン神殿に着弾します。そして、ついにパルテノン神殿は廃墟と化してしまったのです。
知の賢者が集った場所を見直す
このように様々な運命をたどってきたパルテノン神殿は、1975年にアクロポリス遺跡保存委員会が設立されると、修復が進んでいきます。現在もパルテノン神殿では工事が続いている箇所があります。アクロポリス北西部には「アゴラ」と呼ばれる広場が存在し、そこでかつて哲学者であるプラトンやソクラテスたちが、熱い議論をしていました。話し合いで物事を解決していくという「民主政」は、このアテネで誕生したのです。他にも「エレクテイオン神殿」などの重要な構成資産もあります。今でもアテネの中心部に位置し、静かにアテネの民衆を見守っているのです。
2. メテオラ(複合遺産)

自然の力と信仰心が融合した場
メテオラとはギリシア語で「中空に浮く」という意味であり、ギリシア中部にあるメテオラでは、奇岩群が数多くあり、その上に修道院が立っているという、世界でも類を見ない景観が見られます。この奇岩群は今から約6,000万年前に誕生したとされ、そこから長い年月をかけて川の水が谷を削り、硬い部分だけが残った結果、このような景観が生まれました。この景観を神の地と思ったのか、古くから人々が住み着いていました。9世紀頃から、現実世界から離れて、決して住みやすいとは言えないこの場所に修道院を築き、祈りを捧げるようになるのです。修道院群があたかも空中に浮いているように見えるから、この地はメテオラと言われました。最盛期には24の修道院があり、7つの修道院が世界遺産に登録されています。
より社会から隔絶された場を求めて
現世を捨てて、孤独に神への祈りに没頭する修道士のことを「隠修士」と呼びますが、彼らの多くは東方正教会であるため、このような修行法を実践していきます。東方正教会では社会との関係を断ちきり、孤独のうちに修行することを重んじることが良いとされていたので、彼らは荒野や洞窟に住み、祈りと瞑想に没頭するのです。今では、修道院までは階段が設置されていますが、当時は梯子で昇り降りしないとたどり着けないのが普通でした。奇岩の高さは20~400mなので、落ちて命を落とす人もいたそうです。このように隠修士たちが祈りを捧げてきたメテオラですが、現在は観光地化しているため、信仰生活を乱されることを嫌い、同じ世界遺産の聖山アトスへ移りこむ隠修士も増えている模様。複合遺産として登録されている本遺産ですが、観光と信者の関係性についても深く考えさせられる物件であります。
3. デルフィの考古遺跡(文化遺産)

アテネから北西へ178kmのギリシャ中部、眼下にオリーブ畑と遠くコリンティアコス湾を望むパルナッソス連山の麓に広がるデルフィの遺跡は、アポロンの神託が行われていた聖域です。古代ギリシャではここが「大地のヘソ(世界の中心)」と信じられていました。
ギリシャ神話によると、デルフィの神託所を守護していた大蛇のピュートンが、ゼウスの子アポロンを身ごもった母を亡き者にしようとしたため、アポロンは生まれるとすぐ弓矢でピュートンを退治、神託所はアポロンに与えられました。そして巫女にピューティアと名乗らせ、その体を借りて神のお告げを受けるようになったということです。この聖域の中核は、紀元前からデルフィが閉鎖される381年まで神託が行われていたアポロン神殿です。今は数本の列柱と土台を残すのみですが、前室の地下からは「大地のヘソ」と呼ばれる石が発見されました(デルフィ博物館に展示)。巫女が神託を受けたと思われる場所で、当時の人々にとってここが世界の中心でした。
デルフィでは、死せるピュートンに対する葬礼競技よりはじまったとされる「ピューティア祭」が8年ごとに開催されていました。当初は音楽と詩歌の競技が中心でしたが、紀元前582年以降は運動競技も加わり、4年に一度と、定期的に開催されるようになりました。岩盤を掘り抜いて造られた野外劇場は5,000人を収容できる規模を誇り、その舞台に立つと、かつて「世界の中心」と呼ばれたデルフィの情景が目に浮かぶようです。
4. ロドス島の中世都市(文化遺産)

古代ギリシア人の都市国家が造られ交易で栄えたロードス島は、エーゲ海の南に浮かぶ淡路島の2倍ほどの島。かつて港には太陽神ヘリオスの巨像が立ち、古代の世界の七不思議にも数えられていました。中世になると聖ヨハネ騎士団がこの島を占拠。堅固な城壁を築き城塞都市に仕立てました。まるごと世界遺産に登録されたロードス市の旧市街は、今も中世さながらの時を刻んでいるかのようです。
聖地エルサレムで巡礼者の医療活動を行っていた修道院が、十字軍の時代に軍事的な宗教騎士団となり、イスラム軍と戦った聖ヨハネ騎士団。しかし、13世紀に聖地を追われキプロス島へ。さらに1309年にロードス島へと退却を余儀なくされました。厚さ10mを超える城壁を4kmにわたり巡らせ、ここをイスラム世界への砦として聖地奪還を目指したのです。騎士団通りには各語族の騎士団の館が並び、奥には騎士団長の宮殿が聳えます。その重厚な造りからは常に敵の来襲に備えていたことが窺え、考古学博物館となっている当時の施療院の建物では、騎士団の日常の一端を偲ぶことができます。
2世紀もの間イスラム軍の攻撃を退け続けたものの、1522年に侵攻してきたオスマン帝国との戦いに敗れ、マルタ島に退くことになった聖ヨハネ騎士団。宮殿前の広場から城壁の上にのぼると眼下に広がる旧市街と海。今は地中海クルーズが立ち寄る穏やかな海に、オスマンの軍船が押し寄せていたかと思うと隔世の感があります。
5. オリンピアの考古遺跡(文化遺産)

4年に一度、世界の人々を熱狂させる平和の祭典オリンピック。その発祥の地オリンピアは、紀元前10世紀ごろから全能の神ゼウスの聖地として栄えた町。ペロポネソス半島の西、のどかな緑が広がるクロノスの丘の麓に静かに息づき、オリンピックの聖火は、今もオリンピアの遺跡で点火され、開催地へと運ばれていきます。
古代オリンピックは、ゼウスに捧げるスポーツの祭典として紀元前776年に始まり、4年ごとに都市国家(ポリス)がこぞって参加し、短距離走、円盤投げ、レスリング、戦車競争などの競技が行われていました。その後、ローマ皇帝により393年に廃止されますが、フランスのクーベルタン男爵の提唱により近代オリンピックとして復活。1896年に第1回アテネオリンピックが開催されました。
19世紀末に発掘されたオリンピアの遺跡には、ゼウス神殿を取り巻くように、聖火の採火式が行われるヘラ神殿、体育館、レスリングなどの練習に使用されたパラエストラ(闘技場)、オリンピック招待客の宿舎だったレオニデオンなどがあり、スタディオン(競技場)には、約192mのトラックが一直線に延びています。そのスタートとゴールに今も残る石板や遺跡群からは、古代に繰り広げられたオリンピックの熱狂や、競技者の息づかいが聞こえてきそうです。
旅をより楽しむためのワンポイントアドバイス
ベストシーズンと服装選び ギリシャの遺跡巡りは基本的に屋外を長時間歩きます。ベストシーズンは気候が穏やかな**春(4月〜6月)と秋(9月〜10月)**です。夏は非常に暑くなるため、帽子や日焼け止め、十分な水分補給が必須です。また、メテオラなどの修道院では肌の露出が多い服装はNG(現地で巻きスカート等の貸出あり)なので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか? ギリシャの世界遺産は、単なる「古い建物」ではなく、現代の私たちの文明や文化の根底にある物語を教えてくれる場所ばかりです。
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都市の象徴を体感するなら「アテネのアクロポリス」
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圧倒的な絶景と信仰の歴史に触れるなら「メテオラ」
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神秘的な古代のエネルギーを感じるなら「デルフィ」
今回ご紹介したスポットは、どこを訪れてもあなたの人生観を変えるほどの感動を与えてくれるはずです。ぜひ次の旅行計画の参考にして、ギリシャの歴史を肌で感じる素晴らしい旅を実現させてくださいね!


