【高崎山ガイド】野生のサルと出会う。奇跡の楽園で知る「猿社会」の真実
大分市と別府市の境界に位置する「高崎山」。ここは、約1,000頭以上の野生のニホンザルが生息する、まさに「サルの王国」です。檻(おり)はなく、人間がサルのテリトリーにお邪魔するスタイル。
初めて行く方も、何度も行っている方も、この記事を読めば高崎山の見方が変わるはずですよ。
1. 高崎山には「2つの群れ」がある
まず知っておきたいのが、高崎山には現在、**「B群」と「C群」**という2つの大きな群れが存在していることです(かつてはA群もありましたが、現在は消滅しています)。
- B群: 比較的おだやかで、午前中に寄せ場(エサ場)に現れることが多い。
- C群: B群よりも頭数が多く、午後に現れることが多い。
この2つの群れは、完全に入れ替え制。山から下りてくる時間が決まっており、寄せ場を巡って「交代の儀式」のような緊張感が走ることもあります。どちらの群れに会えるかは、その日のサルの気分次第。スタッフさんに「今はどっちの群れですか?」と聞くと、今の勢力図を詳しく教えてくれますよ。
2. 伝説のボスから「イケメン」まで!注目の個性派たち
高崎山を語る上で欠かせないのが、サルの個体ごとのドラマです。
伝説の女帝「ヤケイ」
ニホンザルの社会は通常、オスがトップに立つ「父系社会」ですが、2021年にB群で史上初のメスのボス(第18代)が誕生しました。それがヤケイです。 彼女がオスたちをなぎ倒して頂点に立ったニュースは、世界中の動物行動学者を驚かせました。現在は順位に変動があるものの、彼女の存在は高崎山の歴史を塗り替えた象徴的な出来事です。
総選挙で選ばれる「イケメン」と「人気娘」
高崎山では毎年「選抜総選挙」が行われます。人間顔負けの整った顔立ちのオスや、愛くるしい仕草のメスがエントリー。園内には歴代の1位の写真が飾られており、推しのサルを見つけるのも楽しみの一つです。
3. シャッターチャンス!高崎山名物の「エサの時間」
高崎山で最も盛り上がる瞬間、それが 「小麦タイム」と「芋タイム」 です。
- 小麦のエサやり(30分に1回): スタッフが「ピーッ!」と笛を吹くと、周囲の木々や岩場から一斉にサルたちが集まってきます。地面に撒かれた小麦を、小さな手で器用に拾って食べる姿は圧巻。
- サツマイモのエサやり(1日2回): こちらはさらに激しい!大きなリアカーで運ばれてくるサツマイモを狙って、サルたちが全力疾走します。この「サル寄せ」の迫力は、動画撮影必須です。
豆知識:サルの股をくぐると幸運が!? エサの時間、夢中で食べるサルの足の間(股の下)を人が通り抜ける、あるいはサルが人の股を通り抜けると「幸運が訪れる」というジンクスがあります。もしサルが足元を通ったら、ラッキーだと思ってくださいね!
4. 知っておきたい「サル語」とマナー
野生のサルと仲良く過ごすためには、彼らのルールを知る必要があります。ガイドとして、絶対に守ってほしいポイントを教えますね。
- 目を合わせない(じっと見ない): サルにとって、目をじっと見つめることは「威嚇(ケンカの合図)」です。「かわいい!」と思っても、サングラス越しにするか、少し視線を外して見守りましょう。
- 絶対に触らない: 見た目はフワフワして見えますが、彼らは野生動物。触ろうとすると噛まれる危険があります。特に赤ちゃんザルは、近くに必ずお母さんがいて、過保護なほど守っています。手を出さないのが鉄則です。
- 「食べ物」と「レジ袋」に注意: サルの学習能力は非常に高いです。「レジ袋=食べ物が入っている」と覚えているため、ガサガサ音を立てるだけで奪いに来ることがあります。食べ物や飲み物はカバンに隠し、ポケットからハンカチを出す際も注意してください。
5. 季節ごとの楽しみ方
高崎山は、季節によって表情が全く違います。
- 春(5月〜8月):ベビーラッシュ この時期は赤ちゃんザルが次々と誕生します。お母さんのしがみついている小さな赤ちゃんは、見ているだけで癒やされます。
- 夏:水遊び 寄せ場にあるプールで、サルたちが飛び込んだり泳いだりする珍しい姿が見られるかもしれません。
- 冬:さるだんご 寒い日は、サルたちが身を寄せ合って体温を維持する「さるだんご」を作ります。数十頭が塊になっている姿は、高崎山の冬の風物詩です。


