スワンガンツカテーテル(肺動脈カテーテル)について、その役割や仕組み、測定できる指標などを詳しくお教えしますね。
これは集中治療室(ICU)や手術室などで、心臓や肺の状態をリアルタイムで把握するために使用される非常に重要なデバイスです。
1. スワンガンツカテーテルとは?
右心カテーテル検査の一種で、静脈から挿入して心臓の右側を通り、肺動脈まで留置する細い管のことです。
先端に小さな風船(バルーン)がついているのが特徴で、血流に乗せてカテーテルを目的地まで運ぶことができます。これにより、心臓のポンプ機能が正常に働いているか、全身の血流が十分かといった「血液循環の動態」を正確に数値化できます。
2. 測定できる主な指標
このカテーテルを入れることで、目には見えない体の内部の状態を数値で知ることができます。
| 指標 | 意味 | わかること |
| 中心静脈圧(CVP) | 右心房の圧力 | 全身の水分量の過不足(脱水や心不全) |
| 肺動脈圧(PAP) | 肺動脈の圧力 | 肺高血圧や肺塞栓の状態 |
| 肺動脈楔入圧(PCWP) | 左心房の圧力を反映 | 左心不全の指標(肺水腫の予兆など) |
| 心拍出量(CO) | 1分間に心臓が出す血液量 | 心臓のポンプとしてのパワー |
| 混合静脈血酸素飽和度(SvO2) | 全身を回ってきた血液の酸素量 | 全身への酸素供給が足りているか |
3. なぜこの検査が必要なのか
主な目的は、ショック状態や心不全の治療方針を決定するためです。
例えば、血圧が下がっている患者さんに対して「水分が足りないから点滴を増やすべきか」それとも「心臓の力が弱いから強心薬を使うべきか」という判断は、外見だけでは非常に困難です。スワンガンツカテーテルで得られる数値があれば、原因を特定して的確な処置を行うことが可能になります。
4. 留置のプロセスと注意点
- 挿入経路: 首(内頸静脈)や鎖骨の下(鎖骨下静脈)、足の付け根(大腿静脈)などから挿入します。
- 留置: モニターで波形を確認しながら、カテーテルを右心房→右心室→肺動脈へと進めます。
- 管理: 常に血管内にあるため、感染(カテーテル関連血流感染症)や不整脈、血栓などの合併症には細心の注意を払って管理されます。
医療現場では「フォレスター分類」という指標を用いて、PCWPと心係数(CI)を組み合わせて心不全のタイプを分類する際にも活用されています。


