世界には非公認の犬種も含めると700〜800以上の犬種が存在すると言われています。そのうち、国際畜犬連盟(FCI)やジャパンケネルクラブ(JKC)に登録されている公認犬種だけでも約350種類にのぼります。
これほど多様な犬種が生まれたのは、人間がそれぞれの時代の生活様式や目的に合わせて「猟犬」「牧羊犬」「愛玩犬」などへと交配・改良を重ねてきたからです。
今回は、犬の本来の役割や特徴に基づいて分類される「10のグループ」を中心に、代表的な犬種とその魅力を詳しく解説します。
1. 犬種の国際的な分類(10グループ)
国際的なルールでは、犬はその「歴史的な役割」や「形態」ごとに10個のグループに分類されています。
① 牧羊犬・牧畜犬(第1グループ)
家畜(羊や牛)の群れを誘導したり、外敵から守ったりしていた犬たちです。非常に知能が高く、人間の指示を正確に理解して行動する能力に優れています。
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代表的な犬種: ボーダーコリー(全犬種トップクラスの知能)、ウェルシュコーギー、ジャーマンシェパードなど。
② 番犬・使役犬(第2グループ)
主に家財の警備や、荷車の牽引、救助活動などで活躍してきた大型で力強い犬種たちです。
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代表的な犬種: ドーベルマン、ボクサー、セントバーナード、ブルドッグなど。

③ テリア(第3グループ)
主にキツネやイタチ、ネズミなど、地穴に住む小動物の狩猟を得意としていたグループです。気が強く、活発で、非常に勇敢な性格をしています。
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代表的な犬種: ジャックラッセルテリア、ヨークシャーテリア、ミニチュアシュナウザーなど。

④ ダックスフンド(第4グループ)
アナグマやウサギを狩るため、狭い巣穴に入り込めるよう「面長・短足・胴長」に改良された、独立したグループです。毛質によって、スムーズ(短毛)、ロング(長毛)、ワイヤー(硬毛)の3タイプに分かれます。

⑤ 原始的な犬・スピッツ(第5グループ)
オオカミに最も近い遺伝子を持つ、アジアや北欧原産の犬たちです。立ち耳と巻き尾が特徴で、自立心が強く、飼い主に対して非常に忠実です。
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代表的な犬種: 柴犬、秋田犬、シベリアンハスキー、ポメラニアンなど。

⑥ 嗅覚ハウンド(第6グループ)
優れた嗅覚を使い、地面に残された獲物の臭いを追跡する猟犬です。遠くまで響く大きな声と、タレ耳が特徴です。
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代表的な犬種: ビーグル、バセットハウンドなど。

⑦ ポインター・セター(第7グループ)
鳥猟で活躍する犬たちで、獲物を見つけると「ポイント(前足を上げ、体全体で獲物の方向を指し示すポーズ)」をして主人に知らせる能力を持っています。
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代表的な犬種: イングリッシュセター、ジャーマンショートヘアードポインターなど。
⑧ 70鳥猟犬・水猟犬(第8グループ)
水辺に撃ち落とされた鳥を回収(リトリーブ)したり、草むらから獲物を飛び立たせたりする猟犬です。賢く温厚で、人と作業することが大好きです。
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代表的な犬種: ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、アメリカンコッカースパニエルなど。

⑨ 愛玩犬(第9グループ)
狩りなどの仕事目的ではなく、最初から「人間の伴侶(ペット)」として家庭内で可愛がられるために生み出された、あるいは小型化された犬種たちです。
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代表的な犬種: トイプードル、チワワ、シーズー、パグ、マルチーズなど。

⑩ 視覚ハウンド(第10グループ)
優れた視力と驚異的な脚力を使い、開けた草原などで獲物を追い詰める猟犬です。空気抵抗を減らすための流線型のスリムな体型が特徴です。
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代表的な犬種: ボルゾイ、イタリアングレーハウンド、ウィペットなど。

2. 大きさによる日本の分類
日本の生活環境(住宅事情など)においては、上記の歴史的分類よりも「体重・サイズ」による分類がよく使われます。明確な法律上の規定はありませんが、一般的に以下の3〜4段階に分けられます。
| 分類 | 体重の目安 | 代表的な犬種 | 特徴 |
| 超小型犬・小型犬 | 10kg未満 | チワワ、トイプードル、柴犬、ポメラニアン | 日本のマンション環境でも飼いやすく、現在国内の飼育数の大半を占めます。 |
| 中型犬 | 10kg以上〜25kg未満 | ビーグル、ボーダーコリー、日本スピッツ | 体力があり活発。十分な運動量と、しっかりとしたしつけが必要です。 |
| 大型犬・超大型犬 | 25kg以上 | ゴールデンレトリバー、ハスキー、秋田犬 | 存在感があり、温厚で賢い犬種が多いですが、飼育スペースと確かな制動力(主人のパワー)が必要です。 |
3. 近年のトレンド:ミックス犬(ハイブリッド犬)
純血種同士を掛け合わせた「ミックス犬」も、ひとつのカテゴリーとして定着しています。雑種とは異なり、意図的に人気の純血種同士(例:トイプードル×マルチーズ=マルプー、チワワ×ダックス=チワックス)を交配させたもので、両親の良いとこ取りをした可愛らしさや、抜け毛の少なさなどが人気を集めています。
4. まとめ
犬種の種類を学ぶことは、その犬たちが「かつてどんな仕事をしていたか」という歴史を知ることでもあります。
例えば、トイプードルが水辺の回収犬(レトリバーの親戚)だった歴史を知ると、彼らが泳ぎや取って来い遊びが大好きな理由が分かります。見た目の好みだけでなく、その犬種のルーツや特性を理解することが、愛犬と幸せに暮らすための第一歩になります。

