【速報・解説】宮島・弥山の「霊火堂」が全焼。1200年続く「消えずの火」の運命と火災の全貌
2026年5月20日朝、日本三景の一つであり、世界遺産にも登録されている広島県廿日市市の宮島(厳島)から、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
宮島の最高峰・弥山(みせん)の山頂付近にある歴史的建造物「霊火堂(れいかどう)」から出火し、建物が全焼するという大規模な火災が発生したのです。
1200年以上もの間、絶やすことなく燃え続けていると伝わる「消えずの火」がある場所として、世界中から観光客や参拝客が訪れる聖地で一体何が起きたのか。事件のタイムライン、消火活動の難しさ、そして「消えずの火」の現在の状況について、詳しく解説します。
1. 火災発生のタイムラインと緊迫の現場
火災が発生したのは、新緑の観光シーズンを迎えていた2026年5月20日の午前8時半ごろのことでした。
出火から鎮圧まで
-
午前8時30分ごろ:霊火堂を管理する真言宗御室派の大本山「大聖院(だいしょういん)」の関係者から、「霊火堂の建物が燃えている」と119番通報が入る。
-
午前9時すぎ:山頂付近という特殊な立地のため、麓から消防車が直接駆けつけることが困難な中、宮島島内の消防戦力やヘリコプターが急行。山林への延焼を防ぐための必死の活動が始まる。
-
午前10時35分ごろ:通報から約2時間後、消防による空中からの放水や、現地にいた副住職・登山客らの協力もあり、火の勢いが収まる「鎮圧」状態となる。
激しい炎を上げて崩れ落ちていくお堂の姿は、多くの観光客や地元住民に大きな衝撃を与えました。幸いにも、この火災による怪我人の情報は入っていません。
2. 山頂火災ならではの「消火の壁」
今回の火災で被害が拡大した背景には、「弥山山頂付近(標高約530m)」という特異なロケーションがありました。
通常の街中の火災であれば、消防車が現場に横付けして即座に大量の水を放水できます。しかし、弥山の上部へ続く道は細い登山道しかなく、大型の消防車両が登ることは不可能です。
現場には消防車8台や救急車、さらには消防ヘリコプターが出動し、上空からの放水活動が展開されました。しかし、乾燥した時期ということもあり、一時は周囲の山林へ延焼するリスクが極めて高く、現場の寺院関係者は「山林への延焼を食い止めるだけで精一杯だった」と当時の緊迫した状況を語っています。
この影響で、宮島観光協会は弥山への登山を全面規制し、宮島ロープウエーも終日運休する事態となりました。
3. 焼失した「霊火堂」と「消えずの火」の歴史的価値
今回全焼してしまった「霊火堂」は、宮島における信仰の象徴とも言える極めて重要な文化財です。
歴史を遡ると、平安時代初期の806年(大同元年)に、弘法大師(空海)が宮島・弥山を開山し、100日間の求聞持法(ぐもんじほう)という厳しい修行を行いました。その際、修行の足元で焚かれた護摩の火が、今日まで1200年近くもの間、一度も消えることなく守り続けられてきたとされています。
この火は「弥山の消えずの火」と呼ばれ、以下のような数々の歴史や現代への繋がりを持っています。
-
-
平和記念公園「平和の灯(ともしび)」の種火:広島市の平和記念公園で、世界の核兵器がなくなるまで燃やし続けられている「平和の灯」の元火の一つとしても有名です。
-
恋人の聖地:大茶釜で沸かした霊水を飲むと万病に効くとされ、近年ではパワースポットや「恋人の聖地」としても広く親しまれていました。
-
4. 最も気になる疑問:「消えずの火」は消えてしまったのか?
お堂が跡形もなく全焼してしまったという報道を受け、ネットやSNSでは「1200年の火が消えてしまったのではないか」と悲痛な声が多く上がりました。
しかし、大聖院から安堵の報告がなされています。 結論から言うと、「消えずの火」の伝統は途絶えていません。
大聖院によると、この歴史的な神聖な火は、万が一の災害や不測の事態に備えて、霊火堂以外の別の場所にも「本火(種火)」として厳重に小分けして保存(分火)されていたのです。そのため、今回のお堂の焼失によって1200年の歴史が完全に消滅したわけではなく、火自体は無事に守り抜かれました。
5. 出火原因と今後の復興への課題
廿日市市消防本部や警察による現場検証が進められていますが、現時点で具体的な出火原因はまだ判明していません。
元々、お堂の内部では常に炭火が燃え盛る大茶釜が置かれており、その火が何らかの拍子で建物に燃え移った可能性も含め、慎重に調査が行われています。
世界遺産・宮島の象徴的な景色の一部を失ったショックは計り知れませんが、過去にも宮島は、昭和27年の「宮島ホテル」の焼失や、昭和59年の大規模な林野火災など、幾度となく火の災難を乗り越えて復興してきた歴史があります。
今回の火災を受け、観光客からは「歴史的な名所が繰り返されないためにも、山頂での防火対策を抜本的に見直してほしい」といった声が上がっています。多くの人に愛された霊火堂が、再び安全な形で再建される日を願わずにはいられません。

