日本国内で栽培される国産アボカドは、まだ生産量が少なく、市場では希少な存在です。しかし、近年その栽培に関心が高まっており、各地で栽培に取り組む動きが出てきています。
国産アボカドの特徴
- 品種: 輸入アボカドの多くが「ハス種」であるのに対し、国産アボカドでは耐寒性のある「ベーコン種」や「フェルテ種」などが主に栽培されています。これらの品種は、完熟しても皮が緑色のままだったり、よりクリーミーで濃厚な味わいが特徴と言われています。
- 完熟度: 国産アボカドは、輸入物に比べて輸送距離が短いため、樹上でより完熟させてから収穫できる傾向があります。これにより、より濃厚で風味豊かな味わいが期待できます。
- 希少性: 国内での生産量はまだごくわずかであり、「幻のアボカド」とも呼ばれるほど希少です。そのため、比較的高値で取引されることが多いです。
- 旬: 輸入アボカドは年間を通して流通していますが、国産アボカドの旬は主に晩秋から冬にかけてとなります。
主な産地
比較的温暖な地域での栽培が中心で、主な産地としては以下のような場所が挙げられます。
- 愛媛県: 特に松山市を中心に、温暖な気候とリアス式海岸の地形を活かした栽培が行われています。
- 和歌山県: 本州最南端に位置し、温暖な気候がアボカド栽培に適しています。
- 静岡県: 一部の地域で、様々な品種のアボカド栽培に挑戦しています。
- その他: 熊本県、宮崎県などでも少量ながら栽培されています。また、新潟県ではハウス栽培による「雪国アボカド」という珍しい事例もあります。
栽培方法
- 耐寒性品種の選定: 日本の気候に合わせて、比較的耐寒性のある品種(ベーコン種、フェルテ種など)が選ばれます。
- 露地栽培とハウス栽培: 温暖な地域では露地栽培も行われますが、寒冷地やより安定した生産を目指す場合にはハウス栽培も取り入れられています。
- 水管理: アボカドは水を好みますが、根腐れを起こしやすいため、水はけの良い土壌で適切な水管理が重要です。
- 寒さ対策: 耐寒性のある品種でも、冬場の寒さ対策(防風対策や霜対策)は重要になります。
- 受粉: アボカドは品種によって受粉樹が必要な場合があります。
- 収穫: 品種によって収穫時期が異なり、果実の大きさや油分などを確認しながら収穫適期を見極めます。
歴史
日本にアボカドが渡来したのは大正時代と言われていますが、本格的な栽培が始まったのは比較的近年のことです。輸入アボカドの人気が高まるにつれて、国内での栽培への関心も高まり、各地で試行錯誤しながら栽培技術が確立されつつあります。
国産アボカドは、まだ生産量が少ないため、一般のスーパーなどではあまり見かけませんが、直売所やインターネット通販などで見つけることができます。もし見かけたら、その希少な味わいを試してみてはいかがでしょうか。