【ご当地ラーメン】尾道ラーメンのルーツと変遷:愛され続ける味

料理

尾道ラーメンは、瀬戸内海の港町である尾道市で生まれたご当地ラーメンです。その歴史は、昭和初期にまで遡ると言われています。

黎明期:

  • 昭和3年(1928年)頃、中国福建省出身の張さんという方が、尾道で屋台を始め、チャルメラを吹きながら「支那そば」を売り歩いたのがルーツの一つと言われています。当時のスープは豚骨ベースの白濁したスープだったようです。
  • 尾道は当時、造船業が盛んで、大陸から多くの人が働きに来ていました。彼らが故郷の味を求めたことが、尾道に中華そばが広まるきっかけになったとも考えられています。

戦後:

  • 戦時中の材料不足で一時途絶えましたが、昭和22年(1947年)頃、台湾出身の朱阿俊(しゅあしゅん)さんがラーメンの屋台(のちの有名店「朱華園」)を始め、人気を博しました。朱華園の中華そばは、豚の背脂を使った醤油ベースの独特のスープと平打ち麺が特徴です。
  • その後、日本人による中華そば店も現れ、船員が創業したという「つたふじ」も尾道を代表する人気店となりました。

「尾道ラーメン」という名称の広まり:

  • 地元では長らく「中華そば」や「ラーメン」と呼ばれていましたが、1990年代に福山市の珍味メーカー「阿藻珍味」が、お土産用のラーメンとして「尾道ラーメン」を発売し、これが全国的にヒットしたことで、「尾道ラーメン」という名称が広く知られるようになりました。このお土産ラーメンは、瀬戸内海の小魚(主にイリコ)で出汁を取った醤油ベースのスープが特徴でした。

現在の尾道ラーメン:

現在一般的に「尾道ラーメン」として知られているのは、

  • 鶏ガラベースに魚介系の出汁を加えた醤油味の透き通ったスープ
  • 豚の背脂のミンチが浮いている
  • 平打ち麺

といった特徴を持つものが多いですが、古くからあるお店では背脂を使わないシンプルな中華そばを提供しているところもあります。

つまり、尾道ラーメンの歴史は、大陸から伝わった中華そばをルーツに、戦後の屋台から広まり、お土産ラーメンのヒットによって全国的に知られるようになったと言えます。

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