アンゴラウールの特徴
- 非常に柔らかく、軽い手触り: アンゴラウサギの毛は非常に細く、繊細な肌触りが特徴です。
- 高い保温性: 羊の毛(一般的なウール)の約7倍もの暖かさを保つと言われています。
- 優れた吸湿性と発散性: 湿気をよく吸い、また発散させるため、快適な着心地を提供します。
- 美しい光沢と独特の風合い: カシミヤにも匹敵するような光沢があり、高級感があります。
- 染色性が良い: 鮮やかな発色を楽しめます。
これらの特徴から、セーターやカーディガンなどのニット製品、コート、ショールなど、秋冬の衣料品に人気の素材です。
アンゴラウールの問題点
アンゴラウールには、その優れた特徴の一方で、いくつかの問題点が指摘されています。
1. 倫理的・動物福祉の懸念
これが最も大きな問題点として取り上げられています。
- 毛の採取方法: アンゴラウサギの毛を採取する際、**生きたまま毛を手でむしり取る(プラッキング)**方法や、ハサミで刈り取る方法があります。特にむしり取る方法は、ウサギに極めて大きな苦痛を与えるとされています。声帯のないウサギが、喉を震わせて悲鳴を上げるほどであり、毛を引き抜かれた皮膚は真っ赤に腫れ上がり、ショック状態から食欲不振に陥ることもあります。
- 劣悪な飼育環境: 多くのアンゴラウサギが、不衛生な狭いケージで飼育され、毛が伸びるたびに同じ苦痛を伴う採取作業が繰り返されるという実態が報告されています。
- 大手ブランドの対応: 動物愛護団体PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)などによる告発を受け、多くの大手ファッションブランドがアンゴラウールの使用を取りやめる動きを見せています。
2. 製品としてのデリケートさ
アンゴラウールは非常に繊細な素材であるため、以下のような取り扱いの難しさがあります。
- 摩擦に弱い: 摩擦によって毛羽立ちやすく、毛玉ができやすいです。
- 毛が抜けやすい: 特に使い始めは毛が抜けやすく、他の衣類に付着することがあります。
- 水洗いに弱い: 水洗いすると風合いが損なわれたり、縮んだりする可能性があるため、ドライクリーニングが推奨されることが多いです。
- 虫害に遭いやすい: 保管の際は防虫剤を使用するなど、注意が必要です。
- 静電気が起きやすい: 冬場など乾燥する季節には静電気が発生しやすいです。
これらの問題点から、アンゴラウールはしばしば他の素材(ウール、アクリル、ナイロンなど)と混紡されて使用されることが多いです。
まとめ
アンゴラウールは、その優れた保温性や肌触りから魅力的な素材ですが、その生産過程における動物福祉の問題が深刻な懸念となっています。消費者は、製品を選ぶ際にこれらの点を考慮し、持続可能で倫理的な素材を選ぶことが求められています。