窪美澄さんの小説**『やめるときも、すこやかなるときも』**は、2017年に集英社から刊行された長編小説で、2019年には文庫化もされています。
この作品は、**「大切な人の死を忘れられない男」と「恋の仕方を知らない女」**の二人が出会い、互いの欠けた心を抱えながら、少しずつ歩み寄っていく道のりを描いています。
物語のあらすじ
主人公の家具職人の**須藤壱晴(すどう いっせい)**は、毎年12月の数日間、声が出なくなるという症状に悩まされています。これは過去のトラウマによるもので、その原因を隠して生きてきました。
もう一人の主人公である広告会社勤務の**本橋桜子(もとはし さくらこ)**は、困窮する実家を経済的に支えており、自分の恋愛には縁遠い生活を送っています。
そんな二人が、知人の結婚式で偶然出会い、一夜を過ごします。しかし、数日後、仕事相手として再会することになり、彼らの関係は思わぬ方向へ進んでいきます。
作品の魅力
窪美澄さんの作品は、人間のリアルな感情や、心に抱える欠落、そしてそれらを抱えながらも他者と生きることの温かさを繊細に描くことで知られています。
『やめるときも、すこやかなるときも』もまた、不器用で傷つきやすい二人が、戸惑い、傷つきながらも互いに寄り添い、新たな関係を築いていく姿が丁寧に描かれています。派手な展開があるわけではありませんが、じんわりと心に染み入るような、温もりに満ちた傑作として評価されています。
こんな方におすすめ
- 人間の心の機微や複雑な感情に触れたい方
- 繊細で丁寧な筆致の恋愛小説を読みたい方
- 窪美澄さんの作品に興味がある方
この作品は、2020年にKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔さん主演でテレビドラマ化もされています(日本テレビ系)。小説を読まれた後にドラマを観てみるのも、より深く作品の世界観を楽しむ方法かもしれませんね。
何かさらに詳しく知りたいことがあれば、お気軽にご質問ください。