高次脳機能障害とは?症状・診断・リハビリ・支援を詳しく解説

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高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)は、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管障害や、交通事故などによる脳外傷、心肺停止による低酸素脳症などで脳がダメージを受けたことにより、注意力、記憶力、言語、感情のコントロールといった認知機能に障害が生じる状態を指します。外見からは分かりにくいことが多く、周囲の理解を得ることが難しい場合があります。

 

主な症状

 

高次脳機能障害の症状は、損傷を受けた脳の部位によって様々ですが、代表的なものには以下のようなものがあります。

  • 注意障害: 集中力が続かない、気が散りやすい、複数のことを同時にできない、ミスが多いなど。
  • 記憶障害: 新しい出来事を覚えられない、物の置き場所を忘れる、同じことを何度も繰り返すなど。
  • 遂行機能障害: 物事を計画的に進められない、優先順位がつけられない、臨機応変に対応できないなど。
  • 社会的行動障害(行動と感情の障害): 感情のコントロールが難しい(怒りっぽい、興奮しやすい)、意欲の低下、他人のせいにしやすい、場の空気を読めないなど。
  • 失語: 言いたい言葉が出てこない、相手の言葉の意味が理解できない、読み書きが難しいなど。
  • 失認: 物体の形や使い方、名称が分からない、音や言葉が聞こえていてもそれが何か分からないなど。
  • 失行: ハサミなどの道具がうまく使えない、服の着方が分からないなど。
  • 半側空間無視: 目では見えているのに、片側の空間に注意が向かず、見落としたりぶつかったりしやすい。
  • 地誌的失見当識: 馴染みのある場所でも道に迷う、地図を見ても目的地にたどり着けないなど。

これらの症状は単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもあります。また、脳が疲れやすく、長時間の作業が難しいといった特徴も見られます。

 

診断基準

 

高次脳機能障害の診断は、主に以下の基準に基づいて行われます。

  1. 主要症状等:
    • 脳の器質的病変(脳の細胞や組織の損傷)の原因となる事故や疾病の事実が確認されていること。
    • 現在、日常生活や社会生活に制約があり、その主な原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害であること。
  2. 検査所見: MRI、CT、脳波などにより、認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認できること。
  3. 除外項目:
    • 身体障害として認定可能な症状を有するが、上記主要症状を欠く場合は除外。
    • 受傷または発症以前から有する症状や検査所見は除外。
    • 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする場合は除外。

これらの基準をすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断されます。診断は、脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後に行われ、神経心理学的検査の所見も参考にされ

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