日本にはかつて多くの鉄道路線がありましたが、時代の変化や災害などにより廃止されたJR(旧国鉄含む)の路線も少なくありません。ここでは、比較的新しいものや、特筆すべき背景を持つものなど、廃線になったJRの路線を10選ご紹介します。
1. JR札沼線(北海道医療大学~新十津川間)
- 廃止日: 2020年5月7日
- 特徴: 「学園都市線」の愛称で親しまれた路線ですが、終点である新十津川駅は1日1本の列車しか来ない「日本一の秘境駅」として有名でした。沿線の過疎化により廃止が決定しました。
2. JR石勝線 夕張支線(新夕張~夕張間)
- 廃止日: 2019年4月1日
- 特徴: かつて炭鉱で栄えた夕張市へのアクセスを担っていましたが、炭鉱の閉鎖と人口減少により廃止されました。廃止後は、一部区間が遊歩道として整備されています。
3. JR三江線(三次~江津間)
- 廃止日: 2018年4月1日
- 特徴: 島根県と広島県を結ぶ中国山地のローカル線で、「天空の駅」として知られる宇都井駅など、風光明媚な景色が楽しめました。しかし、利用者の減少と維持費の問題から廃止に至りました。
4. JR留萌本線(留萌~増毛間)
- 廃止日: 2016年12月5日(全線廃止ではなく一部区間)
- 特徴: 小説や映画の舞台にもなった増毛駅を擁する路線でしたが、利用者の減少により留萌~増毛間が先行して廃止されました。残りの区間(深川~石狩沼田間)も2026年3月末に廃止が決定しています。
5. JR江差線(木古内~江差間)
- 廃止日: 2014年5月12日
- 特徴: 北海道新幹線の開業に伴い、並行在来線区間(五稜郭~木古内間)は道南いさりび鉄道へ移管されましたが、その先の木古内~江差間は廃止となりました。かつては青函連絡船と接続する重要な路線でした。
6. JR岩泉線(茂市~岩泉間)
- 廃止日: 2014年4月1日
- 特徴: 度重なる土砂災害による不通と、復旧費用が多額になることから、復旧を断念し廃止されました。秘境駅も多く、鉄道ファンに親しまれた路線でした。
7. JR日高本線(鵡川~様似間)
- 廃止日: 2021年4月1日(災害による不通から復旧断念)
- 特徴: 高波による甚大な被害を受け、長らく不通となっていましたが、復旧が困難として一部区間が廃止となりました。現在、一部区間はバス転換されています。
8. JR特定地方交通線(国鉄再編期)
JR化前に「特定地方交通線」として選定され、廃止された路線は非常に多く、10路線に絞るのは困難ですが、その中からいくつか例を挙げます。これらは国鉄の経営改善のため、多くのローカル線が第三セクター鉄道やバスに転換、または廃止されました。
- JR宮原線(恵良~肥後小国間): 大分県と熊本県を結んでいましたが、1987年のJR化を前に廃止されました。
- JR美幸線(美深~仁宇布間): 北海道に存在した未成線で、一部区間が開通しましたが、後に廃止されました。
- JR興浜北線・興浜南線(興部~雄武間、渚滑~雄武間): オホーツク海沿いを走る路線でしたが、それぞれ特定地方交通線に指定され廃止されました。
9. JR名松線(家城~伊勢奥津間)
- 災害からの復旧: 厳密には廃線ではありませんが、2009年の台風被害で不通となり、廃止の危機に瀕しました。しかし、地元住民の熱意とJR東海の努力により、2016年に全線復旧を果たした「奇跡の路線」として知られます。
10. JR名古屋港線(山王信号場~名古屋港駅間)
- 廃止日: 2024年4月1日(貨物専用線)
- 特徴: かつては貨物輸送で重要な役割を担っていた臨港線ですが、役割を終え、2024年に廃止されました。旅客輸送は行われていませんでしたが、鉄道ファンには親しまれていました。
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これらの路線は、それぞれの地域の歴史や文化、そして日本の鉄道の変遷を物語る存在です。廃線となった後も、その跡地がサイクリングロードや遊歩道として整備されたり、記念碑が建てられたりして、人々の記憶の中に生き続けています。