医療少年院(第三種少年院)とは?役割、対象者、処遇内容を解説

未分類

  京都医療少年院

医療少年院は、心身に著しい障害のある少年を収容し、矯正教育とともに専門的な医療措置や治療的処遇を行う法務省所管の施設です。

かつては「医療少年院」という名称でしたが、2015年の少年院法改正により、現在は「第三種少年院」という分類に位置づけられています。

 

医療少年院(第三種少年院)の主な特徴

 

  1. 対象者:
    • 保護処分の執行を受ける少年で、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者が対象となります。
    • ここでいう「心身に著しい障害」には、知的障害、発達障害(自閉症スペクトラム障害、ADHDなど)、精神疾患、薬物依存症などが含まれます。
  2. 役割と目的:
    • 少年院全体としての目的は、非行のある少年を収容し、その特性に応じた適切な矯正教育その他の健全な育成に資する処遇を行うことにより、改善更生と円滑な社会復帰を図ることにあります。
    • 医療少年院(第三種少年院)では、上記の目的に加え、少年の抱える心身の障害や疾病に対して、医師や看護師、心理職などが連携して、医療的ケアや治療的なアプローチを重点的に行います。例えば、精神科治療、薬物依存からの回復支援、発達障害への特性に応じた指導などです。
  3. 処遇内容:
    • 一般的な少年院と同様に、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導などが実施されます。
    • これに加え、医療少年院では、個々の少年の心身の状態に応じた医療措置課程が設けられ、診察、投薬、カウンセリング、リハビリテーションなどが行われます。
    • 他の少年院と異なり、男女の区別なく収容される場合もあります(例:京都医療少年院)。
  4. 収容期間:
    • 少年院の収容期間は、具体的な期間が「懲役○年」のように確定しているわけではなく、矯正教育の進捗状況によって異なります。
    • 医療少年院(第三種少年院)も他の少年院と同様に、原則として最長2年以内とされていますが、個々の事情や治療の必要性に応じて変動します。標準的な期間は1年程度ですが、12ヶ月を基準期間として教育計画が立てられることが多いとされています。
  5. 退院後の支援:
    • 少年院を仮退院した後は、原則として保護観察に付されます。保護観察官や保護司が、定期的な面談や指導監督を通じて、再非行防止や社会復帰の支援を行います。
    • 特に医療少年院を退院した少年は、引き続き医療機関での治療が必要な場合や、特性に応じた就労・生活支援が必要な場合が多く、関係機関と連携したきめ細やかなサポートが重要となります。

佐世保の女子高生殺人事件の加害者は、事件後、家庭裁判所の決定によりこの医療少年院に送致されたと報じられています。これは、加害者の心身に何らかの著しい問題があると判断され、専門的な医療的アプローチが必要であるとされたためと考えられます。

日本に医療少年院は複数ありますが、例えば京都府宇治市にある京都医療少年院は、全国的にも数少ない医療専門の少年院として知られています。

未分類
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました