鮫皮おろし器の魅力|プロが使う伝統の技と使い方を解説

コラム

鮫皮おろし器の魅力:大根おろしを極上の一品に変える伝統の技

 

こんにちは!皆さんは、普段どのようなおろし器を使われていますか?プラスチック製、金属製、セラミック製など、様々な素材のものがありますよね。

そんな中で、日本の伝統的な調理器具として、寿司職人や日本料理の料理人に愛用されてきた特別な道具があります。それが、「鮫皮おろし器」です。

「サメの皮で大根おろし?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。今回は、このユニークで魅力的な鮫皮おろし器について、その特徴から使い方、そしてお手入れ方法まで、徹底的にご紹介します。

 

鮫皮おろし器って、どんなもの?

 

鮫皮おろし器は、その名の通り、サメの皮を木製の台に貼り付けて作られたおろし器です。主にネズミザメやカスザメなどの皮が使用されます。

サメの皮の表面には、「皮歯(ひし)」と呼ばれる非常に細かく硬い粒子がびっしりと並んでおり、これが天然のおろし金としての役割を果たします。この独特の構造が、他の素材にはない、特別な効果を生み出すのです。

 

なぜ鮫皮でおろすと美味しいの?

 

鮫皮おろし器がプロの料理人に選ばれる最大の理由は、その仕上がりの違いにあります。

1. 食材の細胞を潰さず、きめ細かくすりおろせる

金属製のおろし金は、食材を「削る」ようにしてすりおろします。これに対し、鮫皮おろし器は、皮歯が食材の繊維を優しく「すり潰す」ようにしておろします。これにより、食材の細胞が細かく破壊され、わさびであれば辛味と香りが、大根であれば水分と空気がほどよく混ざり合い、きめ細かく、なめらかな食感に仕上がります。

2. 雑味がなく、素材本来の風味を引き出す

金属製のおろし器では、まれに「金気(かなけ)」と呼ばれる金属臭が食材に移ってしまうことがあります。しかし、天然素材である鮫皮にはその心配がなく、食材本来の甘み、香り、そして辛味を最大限に引き出すことができます。

特に本わさびをすりおろす際には、この違いが顕著に表れ、口当たりまろやかで、鼻に抜ける豊かな香りを存分に楽しむことができます。

 

鮫皮おろし器の使い方とコツ

 

鮫皮おろし器は、その繊細な特性を活かすために、少しコツがいります。

1. 下準備

大根などの食材は、洗ってから皮をむいておきます。わさびの場合は、茎の跡などを包丁でこそげ落とし、表面をなめらかにしておくと、よりきれいにすりおろすことができます。

2. 力を入れずに優しくおろす

鮫皮おろし器は、ゴシゴシと力を入れておろす必要はありません。食材を軽く当て、「の」の字を描くように、ゆっくりと優しくすりおろすのがポイントです。力を入れすぎると、せっかくの鮫皮が傷んでしまう原因にもなります。

3. 大根おろしの場合

大根をおろす際も、力を入れずに円を描くように優しくおろします。すると、まるで雪のようにふんわりとした、きめ細かな大根おろしができます。このふんわりとした大根おろしは、天ぷらや焼き魚に添えるだけで、料理全体の格を上げてくれます。

 

お手入れ方法と注意点

 

鮫皮おろし器は、天然素材のため、正しいお手入れが必要です。

  • 使用後はすぐに水洗い:使い終わったら、すぐにたわしやブラシを使って、おろしカスを流水で洗い流します。おろしカスが乾いてしまうと、取るのが難しくなります。
  • お湯は厳禁:熱いお湯を使うと、鮫皮が劣化したり、木製の台から剥がれたりする原因になります。必ず水で洗うようにしましょう。
  • 陰干しでしっかり乾燥:洗い終わったら、直射日光を避け、風通しの良い場所で陰干しをして、完全に乾燥させます。カビの発生を防ぐためにも、しっかりと乾燥させることが大切です。
  • 長時間水につけない:水に長時間つけ置きすると、鮫皮が劣化したり、木製の台が反ったりする原因になります。

 

まとめ

 

鮫皮おろし器は、大根おろしはもちろん、本わさびや生姜など、様々な薬味をおろすのに最適な伝統的な調理器具です。手間暇かけて作られたその道具は、料理の仕上がりを一段階も二段階も引き上げ、食卓に感動をもたらしてくれます。

使い終わった後の手入れに少しだけ気を配る必要はありますが、それを補って余りあるほどの、最高の風味と食感を与えてくれるでしょう。

もし、料理をもっと美味しくしたい、特別な一品を作りたいとお考えでしたら、ぜひ一度、鮫皮おろし器を手に取ってみてはいかがでしょうか。その繊細な技術と、食材の持つ力を引き出す力に、きっと驚かされるはずです。

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