ネフローゼ症候群とは?症状から治療までをわかりやすく解説
「ネフローゼ」という言葉を聞いたことはありますか?ネフローゼ症候群は、腎臓の病気の一つで、私たちの体にとって大切なタンパク質が、尿と一緒に体の外へ大量に流れ出てしまう病気です。
この記事では、ネフローゼ症候群がなぜ起こるのか、どんな症状が出るのか、そしてどのような治療を行うのかを、専門的な言葉を避けながら分かりやすく解説します。
ネフローゼ症候群ってどんな病気?
私たちの腎臓は、血液をろ過して老廃物を体の外に出す、いわば「フィルター」のような働きをしています。このフィルターは通常、体に必要なタンパク質をせき止め、尿に混ざらないようにしています。
しかし、ネフローゼ症候群になると、このフィルターがうまく機能しなくなり、本来体内に留まるべきタンパク質(特にアルブミン)が、尿として大量に失われてしまいます。
この状態が続くと、血液中のタンパク質濃度が極端に低くなり、さまざまな不調を引き起こします。
主な症状:こんなサインに注意!
ネフローゼ症候群の最も特徴的な症状は、体中のむくみです。
- むくみ(浮腫):これは、血液中のタンパク質が減ることで、血管内の水分を保つ力が弱まり、水分が血管の外に漏れ出すために起こります。特にまぶたや顔、足にむくみが出やすく、重症化すると全身がむくんでしまいます。
- 尿の泡立ち:尿に大量のタンパク質が含まれているため、泡立ちやすくなります。泡がなかなか消えないのが特徴です。
- 体重増加:むくみによって体内に水分がたまるため、体重が増えます。
- だるさ、倦怠感:タンパク質不足や体の不調により、体がだるく感じたり、疲れやすくなったりします。
原因と種類:なぜネフローゼになるの?
ネフローゼ症候群は、腎臓自体に原因がある「原発性ネフローゼ症候群」と、他の病気(糖尿病や膠原病など)が原因で起こる「二次性ネフローゼ症候群」に分けられます。
子供の場合は、腎臓のフィルターの構造に変化が起こる「微小変化型」というタイプが最も多く、大人の場合は「膜性腎症」や「巣状糸球体硬化症」など、様々なタイプがあります。
いずれのタイプも、腎臓のフィルターが何らかの理由で損傷を受けることで発症します。
診断と治療:早期発見が大切!
診断
ネフローゼ症候群は、主に以下の検査で診断されます。
- 尿検査:尿中のタンパク質が異常に多いかを確認します。
- 血液検査:血液中のタンパク質(アルブミン)の量が少なくなっていないかを調べます。
- 腎生検(じんせいけん):正確な原因を特定するために、腎臓の組織を少量採取して詳しく調べることもあります。
治療
治療の目的は、尿中のタンパク質を減らし、むくみなどの症状を改善することです。
- 薬物療法:
- ステロイド:最も一般的な治療法で、腎臓の炎症を抑え、タンパク質が漏れ出るのを防ぎます。
- 免疫抑制剤:ステロイドの効果が不十分な場合や、副作用が強い場合に使われます。
- 利尿薬:むくみがひどい場合に、尿として水分を排出させるために使用します。
- 食事療法:
- 塩分制限:むくみを悪化させないために、塩分を控えます。
- タンパク質摂取量の調整:タンパク質を過剰に摂取すると腎臓に負担がかかるため、医師の指導のもとで適切な量を摂ることが重要です。
- 安静:症状が重い場合は、安静にして体を休めることが大切です。
まとめ
ネフローゼ症候群は、放置すると腎機能がさらに悪化する可能性があるため、早期に発見し、適切な治療を開始することが非常に重要です。
もし、まぶたや足のむくみがなかなか引かない、尿が泡立つなどの症状に気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。専門医の指示に従って治療に取り組むことで、症状をコントロールし、健康な生活を取り戻すことができます。
ご自身の体調に少しでも異変を感じたら、迷わず医療機関に相談してくださいね