猫駅長とは:歴史と代表例
1. 和歌山電鐵「たま駅長」の誕生と功績(ネコノミクス)
日本の猫駅長ブームの火付け役となったのが、和歌山電鐵貴志川線 貴志駅のたま駅長(初代)です。
項目 | 詳細 |
就任日 | 2007年1月5日 |
猫種 | 三毛猫(メス) |
役職 | 初代駅長(最終的に名誉永久駅長) |
報酬 | 年俸としてキャットフード1年分 |
【誕生の背景】
貴志川線は、経営難から2006年に岡山電気軌道の子会社である和歌山電鐵に引き継がれました。その際、コスト削減のため貴志駅は無人化される予定でしたが、駅前の商店主が飼っていた猫「たま」を駅長に任命するアイデアが生まれました。
【功績と役割】
たま駅長は、その愛らしい姿で瞬く間に国内外のメディアに取り上げられ、貴志川線の利用客と観光客を劇的に増やしました。
- 経済効果: たま駅長による経済効果は、年間11億円とも試算され、「ネコノミクス」という言葉まで生まれました。
- 業務内容: 主な業務は「客招き」であり、改札台の上でお客様を出迎え、見送ることで、利用客に笑顔と癒やしを提供しました。
- 昇進: その功績により、駅長からウルトラ駅長、そして社長代理にまで異例の昇進を果たしました。
- 死後: 2015年に永眠した後、貴志駅構内に「たま神社」が建立され、地域の守り神として、また観光スポットとして今も多くの人が訪れています。
2. たま駅長の後継者たち
たま駅長の死後も、その精神と役割は受け継がれています。
駅長名 | 勤務駅 | 役職(2025年現在) | 特徴 |
ニタマ(たまII世) | 貴志駅 | ウルトラ駅長・社長代理 | たま駅長の公休日に代行を務めていた後、二代目駅長に就任。 |
よんたま | 伊太祈曽駅 | 駅長(マネージャー駅長) | 元々はニタマの部下で、現在は伊太祈曽駅の駅長を務める。 |
ごたま | 伊太祈曽駅・貴志駅 | 副駅長・たまミュージアム館長代理 | カギ尻尾を持つ縁起の良い三毛猫として知られ、福を呼ぶ猫とされている。 |
3. その他の有名な猫駅長
猫駅長は和歌山以外にも存在し、地域活性化に貢献しています。
- 会津鉄道 芦ノ牧温泉駅(福島県):
- 初代:ばす(名誉駅長)
- 二代目:らぶ(名誉駅長)
- 三代目:さくら(現駅長) 約25年前から駅に住み着いた猫が駅員たちに愛され、正式に名誉駅長に就任しました。
猫駅長の主な役割と仕事
猫駅長の仕事は多岐にわたりますが、最も重要なのは「癒やし」と「集客」です。
- 集客(客招き): 最も重要な役割です。猫に会うことを目的に遠方から訪れる観光客が増え、地域の交通機関や宿泊、飲食業に大きな経済効果をもたらします。
- 癒やしの提供: 改札や駅長室(専用のスペース)にいることで、通勤・通学客や観光客に「ほっこり」とした癒やしを与えます。
- 広報活動: 観光列車へのデザイン起用(たま電車、ニタマ電車など)や、グッズ販売などを通じて、鉄道会社や地域の広報役を担います。
- 安全管理(?): 時々ホームの見回りや日向ぼっこ警備をしますが、これは猫の自由な行動がそのまま仕事と見なされている側面が強いです。
猫駅長に会う上での注意点
猫駅長はあくまで「勤務中」の動物であり、ストレスを与えないよう配慮が必要です。
- フラッシュ撮影の禁止: ガラス越しや至近距離でのフラッシュ撮影は、猫にとって大きなストレスになります。
- ガラスを叩く行為の禁止: 寝ている駅長を起こすなど、大きな音を立てる行為は厳禁です。
- 触れる際の配慮: ほとんどの駅長はガラス越しでの勤務ですが、もし直接触れられる距離にいる場合は、駅員さんの指示に従い、無理に触ろうとしないことが大切です。
- 勤務日の確認: 猫駅長は公休日や体調不良で休むことがあります。訪問する際は、各鉄道会社の公式サイトなどで最新の勤務予定を事前に確認することが強く推奨されています。