糖尿病(とうにょうびょう、Diabetes Mellitus: DM)について、その概要、種類、原因、主な症状、そして重要な合併症について分かりやすくご説明します。
💉 糖尿病とはどんな病気か
糖尿病とは、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が慢性的に高くなる病気です。
📌 根本的な原因:インスリンの異常
血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの量が不足したり、働きが悪くなったりすることで、ブドウ糖が細胞にうまく取り込まれず、血液中にあふれてしまうこと(高血糖)が原因で起こります。
本来、食べ物から得たブドウ糖は、インスリンの働きでエネルギーとして利用されますが、糖尿病になるとこのシステムが機能しなくなります。
🧑🤝🧑 糖尿病の主な分類
糖尿病は発症の原因によって大きく2つのタイプに分けられます。
1. 2型糖尿病 (生活習慣病型)
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特徴: インスリンの「出が悪くなる」か、あるいは体の細胞がインスリンの作用を「感じにくくなる」(インスリン抵抗性)ことで発症します。
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原因: 遺伝的な体質に加えて、食べ過ぎ、運動不足、肥満といった生活習慣の乱れが大きく関わります。
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現状: 日本の糖尿病患者さんの**約95%**がこの2型に分類されます。
2. 1型糖尿病
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特徴: 膵臓の細胞が何らかの原因(自己免疫疾患やウイルス感染など)で破壊され、インスリンがほとんど作られなくなることで発症します。
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現状: 2型と比べると患者数は少なく、主に子どもや若年者に比較的急激に発症することが多いです。
⚠️ 主な症状と危険性
糖尿病の初期は自覚症状がないことがほとんどです。しかし、高血糖の状態が続くと、以下のような症状が現れます。
初期症状
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のどが渇く、水をよく飲む(多飲):血液中の糖を薄めようとして水分を欲します。
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トイレに行く回数や尿量が増える(多尿):増えすぎた糖を尿として排泄するためです。
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体重が減る:ブドウ糖が使えず、代わりに筋肉や脂肪が分解されるためです。
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疲れやすい、だるい(倦怠感):体がエネルギー不足になるためです。
最も危険なのは「合併症」
高血糖の状態が長期間続くと、血液中の糖が血管を刺激し、全身の血管(特に細い血管)が傷つき、様々な臓器に深刻な障害を引き起こします。これが糖尿病の3大合併症です。
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糖尿病性網膜症(目)
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目の奥の網膜の血管が傷つき、視力低下や失明につながります。
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糖尿病性腎症(腎臓)
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腎臓の毛細血管が傷つき、腎機能が低下します。進行すると人工透析が必要になります。
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糖尿病性神経障害(神経)
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主に足の指先や裏の感覚が鈍くなったり、しびれや痛みが起こったりします。ひどくなると足の壊疽(えそ)の原因にもなります。
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🏥 糖尿病の治療の3つの柱
糖尿病の治療は、血糖値を良好な状態にコントロールし、合併症の発症や進行を防ぐことが目的です。
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食事療法:適切なエネルギー量と栄養バランスの食事を摂る。
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運動療法:血糖値を下げたり、インスリンの効きを良くしたりする運動を継続する。
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薬物療法:食事・運動で不十分な場合に、飲み薬やインスリン注射などで血糖値をコントロールする。
糖尿病は「万病の元」とも言われ、自覚症状がないまま進行し、放置すると非常に重い合併症を引き起こすため、早期発見と継続的な治療が非常に重要です。



