鍋料理は、寒い地域や家族・友人との集いの場を中心に
世界における鍋料理は、日本のように**「みんなで鍋を囲み、具材を煮ながら食べる」スタイルだけでなく、「煮込み料理」や「スープ料理」**など、その土地の気候、食材、食文化に合わせて非常に多様に進化しています。
日本のように「団欒(だんらん)の場」としての鍋はアジア圏に多い傾向がありますが、ヨーロッパやアフリカにも、寒い季節に欠かせない温かい煮込み料理が数多く存在します。
世界の主な鍋料理を地域別にご紹介します。
🌍 世界の代表的な鍋料理

1. アジア圏(東アジア・東南アジア):「囲む」文化
日本と同様に、家族や友人が鍋を囲み、具材を煮ながら食べるスタイルが盛んです。
| 国 | 料理名 | 特徴と具材 |
| 中国 | 火鍋(フオグオ) | 辛い麻辣(マーラー)スープと、辛くない白湯(パイタン)スープを分けた**「鴛鴦鍋(ユェンヤンなべ)」**が定番。薄切り肉、内臓、野菜、キノコなど、具材のバリエーションが豊富です。 |
| 韓国 | チゲ鍋 | 「チゲ」は「鍋料理」を意味し、種類が豊富。キムチチゲ(キムチと豚肉が定番)や、豆腐を主役にしたスンドゥブチゲなどがあり、辛い味付けが多いです。 |
| タイ | タイスキ | タイ風のしゃぶしゃぶに似た料理。鶏ガラやトムヤム風味のスープに、魚介類や野菜を煮て、特製のチリソースやナンプラーベースのタレで食べます。 |
| ベトナム | ラウ | 酸味と辛味のあるスープが特徴。魚介やハーブ、レモングラス、そしてパイナップルが入るなど、南国らしいユニークな具材が使われます。 |
2. ヨーロッパ圏:「煮込み」と「チーズ」
ポトフやシチューなど、具材を一つの鍋でじっくり煮込むスタイルの料理が「鍋料理」として親しまれています。
| 国 | 料理名 | 特徴と具材 |
| フランス | ブイヤベース | 世界三大スープの一つ。南仏マルセイユ発祥の魚介の鍋料理で、様々な魚やエビ、貝などをサフランで風味付けしたスープで煮込みます。 |
| ポトフ | 「火にかけた鍋」という意味。牛肉や大きく切った人参、じゃがいも、キャベツなどの野菜を塩味のスープで長時間煮込んだ、素朴な家庭料理です。 | |
| スイス | チーズ・フォンデュ | 溶かしたチーズ(エメンタールやグリュイエール)に白ワインを加え、パンや茹で野菜などを浸して食べる、スイスの代表的な鍋料理です。 |
| ドイツ | アイントプフ | 「一つの鍋にすべてを入れる」という意味。豆類、ジャガイモ、ソーセージや肉類をブイヨンで煮込む、具だくさんのシチューに近い家庭料理です。 |
3. アフリカ・中南米・その他
それぞれの地域の気候や主要な食材(豆、肉、魚介類)を活かした独自の鍋料理があります。
| 地域 | 料理名 | 特徴と具材 |
| ポルトガル | カタプラーナ | ドーム型の専用鍋(カタプラーナ鍋)を使い、魚介や野菜を少ない水分で蒸し煮にします。旨味が凝縮されるのが特徴です。 |
| モロッコ | タジン鍋 | 陶器のタジン鍋を使い、肉(ラムなど)や野菜を水を使わずに蒸し煮にします。スパイスと食材の水分だけで調理するため、素材の味が濃く残ります。 |
| ブラジル | フェジョアーダ | 黒豆と、様々な種類の豚肉や牛肉を煮込んだ、ブラジルの国民的な煮込み鍋です。 |
| アメリカ | ガンボ | オクラ(ガンボ)や魚介、鶏肉などをトマトベースのスープで煮込んだ、ルイジアナ州(ケイジャン料理)の濃厚な鍋料理です。 |
このように、世界中で「鍋」は寒さをしのぎ、栄養を摂り、そして時に人々が集う大切な食文化として、多様な形で存在しています。


