冥王星はなぜ惑星から除外された?現在の姿とハート型の謎を徹底解説

コラム
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1. 冥王星の発見と「第9惑星」の時代

冥王星が発見されたのは1930年。アメリカの天文学者クライド・トンボーによって、未知の「惑星X」を探す過酷な観測の末に見つけ出されました。

名前の由来はギリシャ神話の冥府の神「プルート(Pluto)」。太陽からあまりにも遠く、光の届かない暗黒の世界に相応しい名前として、当時11歳の少女が提案したものが採用されたという逸話があります。それから76年間、冥王星は太陽系の一番外側を守る第9惑星として愛されてきました。

2. なぜ「惑星」ではなくなったのか?

2006年、天文学界に激震が走りました。国際天文学連合(IAU)によって惑星の定義が厳格化され、冥王星は惑星から除外、「準惑星(dwarf planet)」へと分類が変更されたのです。

その主な理由は以下の3点です。

  1. 軌道上の支配力: 惑星の条件の一つに「その軌道周辺から他の天体を一掃していること」がありますが、冥王星の軌道付近にはエッジワース・カイパーベルト天体と呼ばれる小さな氷の天体が無数に存在していました。

  2. 大きさの問題: 冥王星は地球の月よりも小さく、さらに似たようなサイズの天体(エリスなど)が次々と発見されたため、すべてを惑星にするとキリがないと判断されました。

  3. 極端な軌道: 他の惑星がほぼ同一平面上を公転しているのに対し、冥王星の軌道は大きく傾いており、時には海王星の軌道の内側に入り込むほど歪んでいます。

この決定は世界中で「冥王星がかわいそう」という論争を巻き起こし、科学的な定義を超えた文化的現象となりました。

3. 探査機「ニュー・ホライズンズ」が明かした真の姿

惑星除外から9年後の2015年、NASAの無人探査機「ニュー・ホライズンズ」が冥王星に歴史的な最接近を果たしました。それまで「ぼんやりとした光の点」でしかなかった冥王星が、鮮明な姿で私たちの前に現れたのです。

そこで判明したのは、誰もが予想しなかった「ダイナミックで美しい世界」でした。

巨大な「ハート」の正体

冥王星の表面で最も目を引くのは、巨大なハート型の地形(通称:トムボー領域)です。このハートの左側は、窒素の氷でできた広大な平原になっており、地質学的に非常に若いことがわかりました。つまり、冥王星は死んだ星ではなく、今も地質活動が続いている「生きている天体」だったのです。

青い空と赤い大地

冥王星には薄い大気があり、驚くべきことに太陽の光に照らされると「青い霞」となって見えることが判明しました。また、表面には有機化合物である「ソリン」が堆積し、場所によっては赤茶色の幻想的な景色が広がっています。

4. 氷の下に眠る「地下海洋」の可能性

近年のデータ解析により、冥王星のぶ厚い氷の殻の下には、液体状態の「海」が存在するのではないかという説が有力視されています。太陽からこれほど遠い極寒の地で、なぜ液体が存在できるのか。それは、内部の放射性崩壊熱や、氷の層による断熱効果が関係していると考えられています。

もし海があるならば、そこには生命を育む環境が存在する可能性すら否定できません。

5. 冥王星と、その不思議な家族

冥王星には5つの衛星がありますが、特に最大の衛星「カロン」は特異な存在です。冥王星に対してサイズが非常に大きく、互いの重心が宇宙空間にあるため、まるで「二重惑星」のようにダンスをしながら公転しています。

カロンもまた、巨大な峡谷や赤く染まった北極を持つ個性豊かな天体であり、冥王星探査の重要なパートナーとなっています。


結びに:冥王星が私たちに教えてくれること

惑星から準惑星へと肩書きは変わりましたが、冥王星そのものの価値が変わったわけではありません。むしろ、最新の探査によって明らかになったその複雑で美しい姿は、私たちの想像を遥かに超えるものでした。

冥王星は今も、太陽系の遥か彼方で静かに、しかし力強く存在し続けています。分類という人間が決めた枠組みを超えて、宇宙の神秘を体現する存在として、これからも私たちの好奇心を刺激し続けることでしょう。

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