天王星の謎|横倒しで自転しダイヤモンドの雨が降る「孤独な巨星」の素顔

コラム
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1. 望遠鏡で発見された「最初の惑星」

天王星は、1781年にイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見されました。それまでの水星から土星までの惑星は、肉眼で見えるため古代から存在が知られていましたが、天王星は「近代になって望遠鏡で発見された初めての惑星」です。

当初、ハーシェルはこの星を「彗星」だと思い、次に当時の国王ジョージ3世にちなんで「ジョージの星」と名付けようとしました。しかし、最終的にはギリシャ神話の天空神ウーラノスに由来する「ウラヌス(天王星)」という名で落ち着きました。他の惑星の多くがローマ神話由来である中、ギリシャ神話由来の名前を持つ珍しい存在です。

2. 最大のミステリー「横倒しの自転」

天王星の最大の特徴は、その自転軸の傾きです。地球の傾きは約23.4度ですが、天王星はなんと約98度。つまり、太陽系の中をゴロゴロと横向きに転がるように公転しています。

なぜこれほどまでに傾いているのか? 有力な説は、天王星が形成された初期の頃、地球サイズの巨大な天体が衝突(ジャイアント・インパクト)し、その衝撃で軸がひっくり返ったというものです。

この「横倒し自転」のせいで、天王星の季節は極端です。北極や南極では、42年間太陽が沈まない「昼」が続き、その後42年間は「夜」が続くという、地球では考えられないサイクルを繰り返しています。

3. 「アイス・ジャイアント」の美しい青と過酷な環境

かつて天王星は木星や土星と同じ「ガス巨大惑星」に分類されていましたが、現在は海王星と共に「アイス・ジャイアント(巨大氷惑星)」という独自のカテゴリーに分類されています。

主成分は水素やヘリウムですが、深部には水、アンモニア、メタンの氷が大量に存在しています。天王星が美しい青緑色に見えるのは、大気に含まれるメタンが太陽光の赤い光を吸収し、青い光を反射しているためです。

しかし、その美しさの裏側で環境は過酷そのもの。

  • 極寒の世界: 太陽から約29億kmも離れており、表面温度はマイナス224度にも達します。これは太陽系の惑星の中で最も低い気温です。

  • 猛烈な風: 穏やかな見た目に反して、時速900kmを超える超高速の風が吹き荒れています。

4. 驚愕の研究結果「ダイヤモンドの雨」と「臭い」

近年の科学研究により、天王星の内部ではさらに驚くべき現象が起きていると考えられています。

ダイヤモンドの雨

天王星の深い内部では、超高圧と高温によってメタンに含まれる炭素が結晶化し、「ダイヤモンドの粒」となって深部へ降り注いでいるという説があります。宝石の雨が降る星だなんて、ロマンチックですが過酷な話です。

硫化水素の雲

2018年の研究では、天王星の雲の主成分が「硫化水素」であることが確認されました。硫化水素といえば、温泉地や「腐った卵」のような特有の臭いがする物質です。もし人間が天王星の大気を嗅ぐことができれば(防護服なしでは即死しますが)、非常に強烈な悪臭に悶絶することでしょう。

5. 忘れられた惑星? わずか一度の接近

これほどユニークな天王星ですが、実は直接訪れた探査機は歴史上たった一つしかありません。1986年に最接近した「ボイジャー2号」です。

私たちが目にする天王星の鮮明な画像の多くは、この時に撮影されたものです。それ以降、約40年もの間、天王星を間近で見た探査機はありません。現在、NASAを中心に2030年代の新たな天王星探査ミッションが検討されています。もし実現すれば、横倒しの自転の謎や、地下海洋の有無、そして環(リング)の正体が解明されるかもしれません。


結びに:天王星が教えてくれる宇宙の多様性

天王星は、私たちが持つ「惑星とはこういうものだ」という常識を次々と覆してくれます。横向きに回り、ダイヤモンドの雨を降らせ、悪臭を放ちながら冷たい闇の中を旅するその姿は、宇宙がいかに多様で、私たちの想像を超える場所であるかを象徴しています。

次に夜空を見上げた時、はるか彼方でゴロゴロと転がりながら太陽を回る青い孤独な巨人を思い出してみてください。

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