モーリタニアのタコ漁は、日本と非常に深い関わりがあり、同国の経済を支える主要産業の一つです。
日本のスーパーで「モーリタニア産」という表記をよく見かけるのは、日本のタコ輸入量の約3分の1から4割がこの国から来ているためです。
1. 日本との意外な歴史
かつてモーリタニアではタコを食べる習慣がなく、海にいても獲ることはありませんでした。
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日本人の貢献: 1970年代後半、JICA(国際協力機構)から派遣された中村正明さんという日本人指導員が、現地の人々に「タコつぼ漁」を教えたのが始まりです。
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劇的な変化: 網で獲るよりもタコを傷つけず高品質な状態で捕獲できるこの漁法は、爆発的に普及しました。これにより、漁師の収入が飛躍的に向上し、現地では「ナカムラ」という名前を子供につける人が現れるほど尊敬を集めました。
2. モーリタニア産タコの特徴
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高品質(ジャパン・クオリティ): 冷たいカナリア海流が流れ込む良好な漁場で育つため、身が締まっていて味が良く、日本の真だこに近い品質です。
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伝統的な漁法: 多くの小規模漁師が、今でも日本から伝わったタコつぼ漁(またはプラスチック製のタコ箱)を用いて、丁寧に一匹ずつ獲っています。
3. モーリタニア経済への影響
タコはモーリタニアにとって最大の輸出産品の一つです。
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雇用と外貨: 漁業全体で数万人規模の雇用を生んでおり、国家予算や外貨獲得の重要な柱となっています。
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主な輸出先: 日本が最大の顧客の一つですが、近年ではスペインなどのヨーロッパ諸国や、中国・韓国などへの輸出も増えています。
4. 現在の課題
かつては「獲れば獲るほど売れる」状態でしたが、現在はいくつかの課題に直面しています。
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資源の枯渇: 乱獲の影響でタコの個体数が減少しており、政府は禁漁期間(休漁期)を設けて資源保護に取り組んでいます。
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国際的な買い負け: 世界的なタコ需要の高まりや円安の影響で、日本企業が他国のバイヤーに買い負けるケースが増えており、日本国内での価格高騰の一因となっています。


