日本の自然界には、独自の進化を遂げた「生きた化石」や、特定の地域にしか生息しない「固有種」など、非常に珍しい木が数多く存在します。
代表的なものを、その特徴とともにいくつかご紹介します。
1. 日本固有の「生きた化石」・希少種
世界的に見ても日本にしか存在しない、あるいは分布が極めて限られている貴重な樹木です。
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トガサワラ(マツ科) 紀伊半島と高知県の一部にのみ自生する、日本固有の針葉樹です。氷河期の生き残りといわれ、「生きた化石」とも称されます。見た目はモミやツガに似ていますが、松ぼっくりの鱗片から角のような突起が出ているのが特徴です。
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ハナノキ(ムクロジ科) 愛知、岐阜、長野の3県を中心とした湿地にのみ自生するカエデの仲間です。春先に葉が出るよりも早く、鮮やかな赤い花を咲かせることからその名がつきました。
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シデコブシ(モクレン科) 伊勢湾周辺(東海層群)の湿地にのみ分布する希少種です。細長い花びらが風に舞う様子が、神社の「しで(紙垂)」に似ているためこう呼ばれます。
2. 独自の生態・姿を持つ木
見た目や性質が個性的で、全国的にも珍しいとされる木です。
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バクチノキ(バラ科) 別名「ビランジュ」。成長とともに樹皮がボロボロと剥がれ落ち、そのあとの幹が赤裸々に見える様子を「博打(ばくち)に負けて衣を剥がされた姿」に例えたユニークな名前の木です。
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ケショウヤナギ(ヤナギ科) 北海道と長野県の上高地など、ごく一部にしか自生しません。冬になると若枝が真っ白な粉を吹いたようになり、雪の中で白く化粧をしたように見えることからこの名があります。
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ヤクタネゴヨウ(マツ科) 屋久島と種子島にのみ自生する五葉松の一種です。絶滅危惧種に指定されており、非常に大きな松ぼっくりをつけます。
3. 日本が誇る「巨樹・名木」
種類としては一般的でも、その個体自体が極めて珍しいケースです。
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縄文杉(屋久杉) 屋久島に自生する、推定樹齢2000年〜7200年とされる杉です。過酷な環境でゆっくり育つため樹脂分が非常に多く、腐りにくく数千年もの寿命を保つことができます。
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石割桜(いしわりざくら) 岩手県盛岡市にあるエドヒガンザクラです。巨大な花崗岩の割れ目から突き出すように成長しており、自然の生命力の強さを象徴する珍しい姿として国の天然記念物に指定されています。
これらの木の中には、国の天然記念物や絶滅危惧種に指定され、保護されているものも多くあります。


