ホルター心電計は、日常生活における心臓の活動を長時間記録・解析するための小型の医療機器です。通常の心電図検査は数十秒と短いため、その時たまたま症状が出ていなければ異常が見つからないことがあります。ホルター心電計は、このような一過性の不整脈や狭心症を診断するのに役立ちます。
仕組みと目的
- 仕組み:胸部に数か所の電極を貼り付け、その電極を小型の記録装置にコードで繋ぎます。この装置を腰や肩から提げるなどして、24時間〜48時間、患者さんの心電図を記録します。近年の機種は、コードがなく絆創膏のように胸に直接貼り付けるタイプもあります。
- 目的:日常生活を送る中で、食事中、運動中、睡眠中など、さまざまな状況で心臓がどのように動いているかを記録することで、以下の情報を把握できます。
- 不整脈:自覚症状がない不整脈や、病院にいる時だけ出ない不整脈の種類、頻度、発生時間などを特定します。
- 狭心症:労作時(運動など)や安静時、特に明け方や夜間に発生する胸痛と心電図の変化の関連を調べます。
- 自覚症状との関連:動悸、めまい、胸痛などの症状が出た際に、その時間と心電図の変化を照らし合わせ、症状の原因が心臓にあるか調べます。
- 治療効果の判定:薬の効果やペースメーカーの機能評価にも利用されます。
装着中の注意点 ⚠️
ホルター心電計を装着している間は、以下の点に注意が必要です。
- 入浴・シャワー:多くの機種は防水ではないため、入浴やシャワーはできません。体を拭く程度にしましょう。
- 家電製品:電気毛布や低周波治療器などは心電図のノイズの原因になるため、使用を避けましょう。携帯電話やパソコンは通常問題ありません。
- 行動記録:検査中に症状が出た場合は、装置のボタンを押して、その時の状況(例:動悸、胸痛など)や行動(例:階段を上った、安静にしていたなど)を行動記録カードに記入します。この記録が、心電図の解析に非常に重要となります。
- 服装:装置やコードが邪魔にならないよう、上下が分かれているゆったりとした服装が推奨されます。
デメリット
- 生活の制限:入浴ができない、装置やコードがわずらわしいなど、日常生活に一部制限が生じます。
- 皮膚トラブル:電極を長時間貼り付けるため、肌がかぶれたり、かゆみが出ることがあります。
- 検査期間:24時間以上装着し、後日装置を取り外すために再度来院が必要となるため、2日連続で通院が必要になります。結果もすぐには出ず、解析に時間がかかります。