高血圧と腎不全は、お互いに悪影響を及ぼし合う「悪循環」の関係にあります。高血圧が腎臓を傷つけ、その傷ついた腎臓がさらに血圧を上げる、というサイクルが繰り返されることで、最終的に腎不全へと進行していきます。
1. 高血圧が腎臓を傷つける仕組み
腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分、塩分を尿として排出する重要な役割を担っています。このろ過作業は、「糸球体」と呼ばれる非常に細い血管の塊で行われます。
高血圧の状態が長く続くと、この繊細な糸球体に強い圧力がかかり続けます。例えるなら、細いホースに強い水圧をかけ続けるようなものです。その結果、血管が徐々に硬くなり、やがった壊れて機能が低下していきます。これを「腎硬化症」と呼び、慢性腎臓病(CKD)の主要な原因の一つとなっています。
2. 腎臓の機能低下がさらに血圧を上げる仕組み
腎臓の機能が低下すると、体内の水分や塩分をうまく排泄できなくなります。
- 体液量の増加: 余分な水分や塩分が体内に溜まると、血液の量が増加し、血圧がさらに上昇します。
- ホルモンによる血圧調節の狂い: 腎臓は、血圧を調節する「レニン」というホルモンも分泌しています。腎臓の機能が低下するとこの調節がうまくいかなくなり、血圧を上げる方向に作用してしまいます。
このように、高血圧が腎臓を傷つけ、腎臓の機能低下がさらなる高血圧を招くという負のスパイラルに陥ることで、病状は急速に悪化し、やがて透析が必要な腎不全へと進行してしまうのです。