パニックにならないで!過呼吸症候群(過換気症候群)の特徴と対処法

コラム

パニックにならないで!過呼吸症候群(過換気症候群)の特徴と対処法

 

突然の息苦しさ、手足のしびれ、めまい…。これらの症状が急に出現する「過呼吸症候群(過換気症候群)」は、非常に不安を感じるものですが、命に関わることはほとんどありません

正しく対処すれば数分で回復します。この記事では、過呼吸症候群がどのようなものか、その特徴と、発作が起きたときの落ち着いた対処法について解説します。


 

1. 過呼吸症候群とは?パニックから起こる体の反応

過呼吸症候群(過換気症候群)は、主に強い不安や緊張、パニックといった精神的ストレスが引き金となり、呼吸が速く・深くなりすぎることで起こる症状です。

 

原因は「二酸化炭素の欠乏」

 

「息苦しいから」と必要以上に酸素を取り込もうと速く呼吸を繰り返すことで、体内の二酸化炭素濃度が急激に低下してしまいます。

実はこの二酸化炭素の欠乏こそが、過呼吸のつらい症状を引き起こす真の原因です。


 

2. 過呼吸症候群の主な特徴(症状)

 

過呼吸の発作は、通常、数分〜数十分で治まります。主な症状は以下の通りです。

 

① 呼吸に関する症状

息苦しさ、呼吸困難感&胸の圧迫感・痛み

息を吸っても吸い足りないと感じ、さらに速く呼吸しようとします。

胸の周りの筋肉が過度に緊張し、苦しさが増します。

 

② 二酸化炭素欠乏による症状

体内の二酸化炭素が減ると、血液がアルカリ性に傾き(呼吸性アルカローシス)

神経や筋肉に影響を与えます。

  • 手足や唇のしびれ(テタニー): 特に手や口の周りがビリビリとしびれ、指が固まって動かせなくなる(**「鷲手(わしで)」**と呼ばれる形になる)ことがあります。
  • めまい・ふらつき: 脳の血管が収縮し、軽い酸素不足になることで起こります。
  • 動悸・頻脈: 心臓がドキドキと速く打つのを感じます。

 

③ 精神的な症状

強い不安・恐怖感

「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖に襲われ、パニック状態になります。この不安がさらに呼吸を速めてしまう悪循環に陥ります。


 

3. 発作時の落ち着いた対処法

 

過呼吸発作が起きたときは、**「過剰に排出された二酸化炭素を体内に戻す」**ことが回復へのカギです。

 

① 意識的にゆっくり呼吸する

不安にならず**「ゆっくり、細く、長く」**息を吐くことに集中することです。

  • **「吸う」より「吐く」**ことを意識する。
  • 4秒かけて吸い、8秒かけて吐くなど、呼吸のリズムを意識しましょう。
  • 特に息を吐き出す時間を長くすることで、二酸化炭素の排出を抑え、体内の濃度を回復させます。

 

② 周囲は「大丈夫」と安心させる

優しく声をかけ、安心感を与えることが重要です。

そばにいる人は、慌てずに「大丈夫だよ」「これは過呼吸だから必ず治るよ」

  • 背中を優しくさすったり、一緒にゆっくり呼吸するのを助けてあげましょう。
  • 大勢で囲んだり、騒いだりすると、本人の不安が増すため避けましょう。

 

💡 昔ながらの「紙袋法(ペーパーバッグ法)」は非推奨

以前は紙袋を口に当てて呼吸し、吐いた息(二酸化炭素)を吸わせる方法が推奨されていましたが、酸素不足を引き起こす危険性があるため、現在は推奨されていません。

意識的にゆっくりと呼吸することに集中するのが最も安全で効果的な対処法です。


 

4. 日常生活でできる予防策

過呼吸は、ストレスや不安が大きな引き金になります。

  • リラックス習慣: 軽い運動、趣味、アロマテラピーなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。
  • 規則正しい生活: 睡眠不足や過労を避け、自律神経のバランスを整えることが大切です。
  • 専門家への相談: 過呼吸を繰り返す場合は、心療内科や精神科を受診し、根本的な不安やストレスに対する治療(カウンセリングや薬物療法)を受けることも検討しましょう。

過呼吸症候群は、心身のSOSサインです。その特徴を知り、発作が起きても慌てず対処することで、不安を軽減し、発作を繰り返さないための対策を立てることができます。

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