世界で一番静かな場所、マイクロソフトの「無響室」を知っていますか?マイナス20.35デシベルという、人間の耳の限界を超えた静寂の中では、自分の心臓の音や関節の擦れる音まで聞こえてきます。「45分以上いられない」と言われる理由や、その驚きの仕組みを詳しく解説します。
1. どこにあるのか?
現在、ギネス世界記録に認定されているのは、アメリカのワシントン州レドモンドにあるマイクロソフト本社内の「無響室(Building 87)」です。
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静かさの数値: マイナス20.35デシベル(dBA)。
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比較: 人間の耳で聞こえる最小の音(0デシベル)をはるかに下回っています。ちなみに、静かな寝室が約30デシベル、木の葉が触れ合う音が約20デシベルです。
2. どんな感覚になるのか?
あまりに音が反射しないため、そこにいる人は以下のような異常な体験をすると言われています。
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自分の体の音が聞こえる: 自分の心臓の鼓動、肺に空気が入る音、さらには関節が擦れる音や、胃が食べ物を消化する音までが「大きな音」として聞こえてきます。
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平衡感覚を失う: 人間は耳で音の反響を感じ取ることで自分の立ち位置を把握していますが、その反響が一切ないため、目をつぶるとすぐにふらつき、真っ直ぐ立っていられなくなります。
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幻聴: 脳が「音が全くない」という異常事態を埋め合わせようとして、存在しない音を作り出し、幻聴を聞く人もいます。
3. なぜそんな場所を作ったのか?
単なる実験ではなく、主に製品開発のために使われています。
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音質の追求: Surface(タブレットPC)のクリック音、Xboxの冷却ファンの音、キーボードのタイピング音など、製品から出る極めて小さなノイズを正確に測定し、不快な音を排除するために使われます。
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マイクのテスト: 音声認識(Cortanaなど)の精度を上げるために、雑音のない環境でマイクの性能をテストします。
4. もう一つの有名な場所
かつて世界一だったのが、ミネソタ州にある「オルフィールド研究所」の無響室です。 ここでは一般の人も体験ツアーに参加できることがありますが、「45分以上いられた人はいない」という伝説があります。多くの人が数分で気分が悪くなったり、パニックに近い感覚を覚えたりするそうです。


