瀬戸内海は、本州、四国、九州に囲まれた日本最大の「閉鎖性海域」であり、その自然環境には世界的に見てもユニークな特性がいくつもあります。
主な特性を地形・気候・生態系の3つの観点から解説します。

1. 地形的特性:灘(なだ)と瀬戸(せと)の繰り返し
瀬戸内海の最大の特徴は、広い海域である**「灘」と、島々が密集し幅が狭い「瀬戸(海峡)」**が交互に並んでいることです。
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多島海(たとうかい): 約700以上の島々が点在し、複雑な海岸線を作っています。
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浅い平均水深: 平均水深は約38mと非常に浅く、全域の約95%が水深70m以内です。
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強力な潮流: 満ち引きの際、狭い「瀬戸」に海水が集中するため、時速20km(約10ノット)を超える激しい潮流や、鳴門海峡のような渦潮が発生します。
2. 気候的特性:瀬戸内式気候
周囲を山地に囲まれているため、外洋や季節風の影響を受けにくい独自の気候を持っています。
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温暖少雨: 年間を通じて温暖で、晴天の日が多いのが特徴です。降水量は全国平均と比べて少なく、これがかつての「塩田(えんでん)」による塩作りや、現在のレモン・オリーブ栽培に適した環境を作りました。
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凪(なぎ): 波が非常に穏やかで、鏡のような海面が見られることが多い一方、夏場には風が止まって気温が急上昇する「瀬戸の夕凪」という現象も起こります。

3. 生態系的特性:「里海(さとうみ)」と多様性
古くから人と自然が密接に関わってきたこの海は、**「里海」**のモデルケースとも言われます。
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豊かな栄養供給: 周囲の山々から600以上の河川が流れ込み、魚の餌となるプランクトンを育てる栄養塩を運びます。
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特徴的な希少種: * スナメリ: 背びれのない小型のクジラ。
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カブトガニ: 「生きた化石」として知られ、特定の干潟に生息。
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環境の変化と課題: 高度経済成長期の水質汚染(赤潮)を乗り越え、現在は逆に「水が綺麗になりすぎて栄養が足りない(貧栄養化)」ことによる漁獲量の減少や、海藻が消える「磯焼け」が新たな課題となっています。
まとめ:瀬戸内海の特性一覧
| 分類 | 主な特徴 |
| 形状 | 東西450kmに及ぶ細長い「閉鎖性海域」 |
| 景観 | 世界初の国立公園に指定された美しい「多島海」 |
| 海水 | 潮流が激しく、灘ごとに水質や生態系が異なる |
| 共生 | 漁業や海運など、人の生活が深く組み込まれた「里海」 |
この独特な環境は、古代から現代に至るまで、西日本の文化や経済を支える重要なインフラとしての役割も果たしてきました。

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