辞世の句とは、人が死に際して詠む句のことで、特に武将の辞世の句は、その生き様や覚悟、思想を表すものとして、後世に語り継がれています。
有名な武将の辞世の句
織田信長
「人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻のごとくなり」
（意味：人間の寿命は短く、天下もまた、儚い夢のようなものだ）
豊臣秀吉
「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」
（意味：露のように儚い命だった。大坂での栄華は、夢のまた夢のようだ）
徳川家康
「厭離穢土欣求浄土」
（意味：この世の穢れを嫌い、清らかな浄土を求める）
上杉謙信
「四十九年 一睡夢 一期栄華 一盃酒」
（意味：49年の生涯は、一瞬の夢、一場の栄華、一杯の酒のようなものだ）
武田信玄
「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」
（意味：動きは風のように速く、静観は林のように穏やかに、侵攻は火のように烈しく、守備は山のようにどっしりと構えよ）
明智光秀
「順逆二門に無し 大道心源に徹す 五十五年の夢 覚め来れば一元に帰す」
（意味：天下を取る道には順と逆の二つの道があるが、私は天の道に従うのみ。55年間の夢から覚めれば、すべては一つの根源に帰する）
伊達政宗
「曇りなき 心の月を 先立てて 浮世の闇を 照らしてぞ行く」
（意味：曇りのない心で、世の中の闇を照らすべき存在になりたい）
毛利元就
「友を得て なおぞうれしき 桜花 昨日にかはる 今日のいろ香は」
（意味：友人たちと花見ができて、本当に嬉しい。昨日の桜よりも、今日の方がさらに色も香りも素晴らしい。）
陶晴賢
「何を惜しみ 何を恨みん 元よりも この有様に 定まれる身に」
（意味：今更何を惜しむのか、何を恨むのか。自分のこの最期は、元より定められていたことなのだから。）
辞世の句から学ぶこと：武将たちの辞世の句は、現代を生きる私たちにとっても、多くの示唆を与えてくれます。
死生観：死をどのように受け止めるか、人生の終末をどのように迎えるか
覚悟：困難に立ち向かうための勇気、目標を達成するための強い意志
