科学が語る「無」からの爆発

コラム

現在、最も有力な説はご存知「ビッグバン理論」です。今から約138億年前、宇宙は目に見えないほど小さな、しかし無限のエネルギーを持った「点」から始まったとされています。

驚くべきは、その前には「時間」も「空間」も存在しなかったという説です。 「宇宙が始まる前は何があったの?」という質問に対し、物理学者はしばしばこう答えます。「北極点よりも北に何があるかを聞くようなものだ」と。つまり、北極点より北という概念が存在しないように、宇宙の始まりより前という時間そのものが存在しないのです。

想像してみてください。真っ暗闇ですらない、光も闇も、上も下もない状態。そこから、凄まじい膨張が始まりました。

  • 最初の数秒: 素粒子が生まれ、光が駆け巡る。
  • 数億年後: 重力によってガスが集まり、最初の星が宿る。
  • そして現在: その星屑の再利用によって、私たちの体(炭素や鉄)ができている。

そう考えると、僕たちの指先にある原子一つひとつは、138億年前の「始まりの瞬間」にそのルーツを持っていることになります。僕たちは文字通り、**「星の欠片」**でできているのです。


第2章:神話が描いた「カオス」と「光」

科学が「数式」で始まりを語るなら、人類の先祖たちは「物語」で始まりを語りました。世界中の神話には、共通する面白いパターンがあります。それは、始まりは常に「混沌(カオス)」だったということです。

  • ギリシャ神話: 最初は口を開けた巨大な空虚「カオス」があり、そこから大地や愛が生まれた。
  • 日本神話: 天地がまだ分かれず、卵の中身のように混ざり合っていた状態(混沌)から、清いものが空へ、重いものが地へと分かれた。
  • 北欧神話: 燃え盛る炎の国と、凍てつく氷の国の間にあった巨大な裂け目から巨人が生まれた。

不思議だと思いませんか? 物理的な観測手段を持たなかった古代の人々が、一様に「最初はぐちゃぐちゃで、そこから秩序が生まれた」と考えていたことは。これは、私たちの深層心理にある「生みの苦しみ」や「暗闇から光を見出す希望」の象徴なのかもしれません。


第3章:なぜ「始まり」を知りたいと思うのか

ここで一つの疑問が浮かびます。なぜ私たちは、100億年以上も前の、自分が見ることもできない過去にこれほど惹かれるのでしょうか。

それは、**「始まりを知ることは、終わり(目的)を知ること」に繋がっているからではないでしょうか。

私たちは、どこから来たのか分からないまま、どこへ行くべきかを決めるのは難しいと感じる生き物です。「偶然の爆発で生まれた」と考えるか、「大いなる意志によって設計された」と考えるか。その答えによって、今日という一日の重みが変わってきます。

もし世界がただの偶然の産物だとしたら、私たちが今ここで生きている確率は、バラバラに分解した腕時計の部品をバケツに入れて振り続け、偶然組み上がるのを待つよりも低いと言われています。 その「ありえない奇跡」の上に、今、あなたはスマホを眺め、私はキーボードを叩いている。そう思うだけで、退屈な通勤電車も、少しだけ特別な場所に思えてきませんか?


結び:あなたの「世界」は、毎日始まっている

壮大な宇宙の話をしてきましたが、最後に少しだけ視点を変えてみたいと思います。

物理的な宇宙の始まりは138億年前の一回きりかもしれません。けれど、「認識としての世界」は、あなたが目覚めるたびに新しく始まっていると言えます。

あなたが新しい知識を得たとき、誰かと出会ったとき、あるいは古い価値観を捨てたとき。あなたの見ている世界は塗り替えられ、新しい「始まり」を迎えます。 「世界の始まり」を考えることは、過去を振り返ることではなく、「この驚くべき世界で、これからどう生きていこうか」と未来へ目を向けることそのものなのです。

次に夜空を見上げたときは、ぜひ思い出してみてください。 あなたの体の中には138億年前の火が灯っていて、そして今この瞬間も、新しいあなたの世界が始まり続けているということを。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 もしよろしければ、あなたが「世界の不思議」を感じる瞬間をコメントで教えてくださいね。


コメント

タイトルとURLをコピーしました