ドラムの基礎知識と主要メーカー別おすすめセット5選
ドラムはバンドの要となるリズム楽器です。これからドラムを始めたい方、あるいはドラムセットの購入を検討している方のために、ドラムの基礎知識と主要メーカーのおすすめセットについて解説します。
ドラムの基礎知識
ドラムセットは、主に以下のパーツで構成されています。
- バスドラム(Bass Drum / Kick Drum):足でペダルを踏んで鳴らす、ドラムセットの中で最も低い音を出す大きな太鼓です。リズムの根幹を担います。
- スネアドラム(Snare Drum):ドラムセットの中心となる太鼓で、裏面にスナッピーと呼ばれる響き線があり、特徴的な「ジャラジャラ」という音が出ます。バンドサウンドのアクセントやフィルインで多用されます。
- タム(Tom-Tom):バスドラムの上やスタンドに設置される太鼓で、通常はフロアタムを含めて2〜3個使用されます。フィルインやタム回しなどで音程の変化をつけます。
- フロアタム(Floor Tom):床に置いて使用するタムで、比較的低い音が出ます。
- ハイハットシンバル(Hi-Hat Cymbal):2枚のシンバルをスタンドで上下に重ねたもので、ペダルとスティックで様々な音色を出すことができます。リズムの基本を刻む重要なパーツです。
- クラッシュシンバル(Crash Cymbal):曲の始まりやセクションの切り替わりなど、アクセントとして使用されるシンバルです。
- ライドシンバル(Ride Cymbal):持続音を出すことができ、主にジャズなどでリズムを刻む際に使われます。
これらのパーツは、それぞれ専用のスタンドにセットして使用します。
ドラムセットの選び方
ドラムセットを選ぶ際には、主に以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 予算:ドラムセットは数万円から数十万円、あるいはそれ以上と価格帯が幅広いです。ご自身の予算に合わせて選びましょう。
- 用途:自宅練習用なのか、スタジオやライブでの使用を想定しているのかによって、選ぶべきセットが変わってきます。
- スペース:ドラムセットは意外と場所を取ります。設置するスペースを確認しておきましょう。
- 音量:生ドラムは非常に大きな音が出ます。自宅での練習を考える場合は、電子ドラムの選択肢も検討すると良いでしょう。
主要メーカー別おすすめドラムセット5選(平均価格帯)
ここでは、初心者の方にもおすすめできる主要ドラムメーカーの平均価格帯と、そのメーカーの代表的なシリーズをご紹介します。価格は新品のエントリー〜ミドルクラスのセットの目安であり、モデルや仕様によって変動します。
1. Pearl (パール)
&特徴: 世界的に有名な日本の楽器メーカーで、初心者からプロまで幅広い層に支持されています。耐久性と安定したサウンドが魅力です。 平均価格帯: 8万円~20万円程度 代表的なシリーズ:
- Rhythm Traveler:コンパクトで消音性が高く、自宅練習にも最適です。
- Export:長年愛されるベストセラーシリーズで、価格と性能のバランスが非常に優れています。
2. TAMA (タマ)
特徴: 多くの有名ドラマーに愛用されている日本のメーカー。パワフルなサウンドと堅牢なハードウェアが特徴です。 平均価格帯: 9万円~25万円程度 代表的なシリーズ:
- Imperialstar:初心者向けでありながら、本格的なサウンドと優れた耐久性を兼ね備えています。
- Superstar Classic:より本格的なサウンドを求める方におすすめのシリーズです。
3. YAMAHA (ヤマハ)
特徴: 総合楽器メーカーならではの幅広いラインナップが魅力です。クリアでバランスの取れたサウンドが特徴で、電子ドラムも人気です。 平均価格帯: 7万円~20万円程度 代表的なシリーズ:
- Rydeen:エントリーモデルながら、ヤマハらしい高品質なサウンドを提供します。
- Stage Custom Birch:バーチ材を使用したシェルが特徴で、抜けの良いサウンドが魅力です。
4. Gretsch (グレッチ)
特徴: 独特の暖かくヴィンテージ感のあるサウンドが特徴のアメリカの老舗メーカー。特にジャズドラマーに人気があります。 平均価格帯: 15万円~40万円程度(エントリーモデルは少なめ) 代表的なシリーズ:
- Catalina Club:グレッチらしいサウンドを手頃な価格で楽しめるシリーズです。
- Renown:より本格的なプロ仕様のサウンドを提供します。
5. Ludwig (ラディック)
特徴: ビートルズのリンゴ・スターが愛用したことでも知られるアメリカの老舗メーカー。深みのある温かいサウンドが特徴です。 平均価格帯: 15万円~35万円程度(エントリーモデルは少なめ) 代表的なシリーズ:
特に有名なものを挙げます。
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Classic Maple (クラシックメイプル): 長年にわたりプロドラマーに選ばれ続けている、ラディックを代表するシリーズです。北米産の高級メイプルを使用し、明るく抜けの良いサウンドが特徴です。多様な音楽ジャンルに対応できる汎用性の高さも人気の理由です。
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Vistalite (ヴィスタライト): 70年代に一世を風靡した、アクリルシェル製のドラムセットです。クリアな見た目と、アクリルならではのパワフルで太いサウンドが特徴で、ステージ映えも抜群です。ジョン・ボーナムが愛用していたことでも有名です。
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Legacy (レガシー): ラディックの長い歴史と伝統を現代の技術で凝縮したシリーズです。特に「Legacy Maple」や「Legacy Mahogany」などがあり、ヴィンテージのサウンドを継承しつつ、現代のニーズにも応える高品質なドラムです。
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Breakbeats (ブレイクビーツ): Questlove(クエストラヴ)とのコラボレーションから生まれた、コンパクトな小口径ドラムセットです。限られたスペースでの使用や持ち運びにも便利で、ヒップホップやジャズ、ストリートパフォーマンスなどに適しています。
また、ドラムセットのシリーズとは異なりますが、スネアドラムでは以下のモデルが特に有名で、ラディックの顔とも言える存在です。
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Supraphonic (スープラフォニック): 「LM400」や「LM402」などが有名で、非常に汎用性が高く、多くのレコーディングやライブで使用されてきた定番スネアです。
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Black Beauty (ブラック・ビューティ): ブラックニッケル処理されたブラスシェルが特徴の、見た目も音もゴージャスなスネアです。Supraphonicと並び、Ludwigの二枚看板と言われています。
これらのシリーズやモデルは、ラディックの長い歴史と革新性を象徴するもので、世界中のドラマーに愛されています。